ShinMakita

狙撃者のShinMakitaのレビュー・感想・評価

狙撃者(1952年製作の映画)
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…止めてくれ。僕を見つけて止めてくれ。またやってしまう…

☆俺基準スコア:2.7
☆Filmarks基準スコア:3.7





1950年代のサンフランシスコ…
クリーニング店の配達人エディ・ミラーは男前で気さくな青年。しかし精神病刑務所を出たばかりの身だった。彼には極端な女性嫌悪症があり、女性に冷たくされたり暴言を吐かれると殺意が抑えられなくなるのだ。そんな彼が、お得意の配達先である女性ピアニスト・ジーンに足蹴にされたことで「発作」が発動。夜、仕事終わりの彼女を待ち伏せ、M1カービンを構えて射殺してしまう…


「狙撃者」



おそらく〈スナイパー〉というタイトルのハリウッド映画では最古のもの。しかし1952年公開とは思えないほど犯人の造形が良くできていて驚きました。エディは結局次々と女性を狙撃していき、焦る警察は性犯罪者を根こそぎしょっぴいて尋問するんだけど、それを精神科医が否定するんですね。のぞきや痴漢をいくら捕まえても無駄だと。女性に暴力を振るった前科のある奴を当たるべきだと提案し、至極ごもっともと思ってしまった。精神科医の話を割と素直に聞くベテランのカフカ警部補がなんとも微笑ましい。模倣犯の出現や理屈に合ったプロファイリング、カフカがエディをホシと同定するまでの真っ当なプロセスなど、刑事ドラマの手本のような出来なので、今見てもかなり楽しめるはず。名匠エドワード・ドミトリクの演出でスタンリー・クレイマー製作のコロンビア映画なので、短いけど堂々とした社会派の傑作と言えると思います。ラスト、カービンを抱えて涙ぐむカットが印象的。オススメ。
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