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ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリーのkzのレビュー・感想・評価

5.0
今作のハン・ソロは、我々の知るニヒリスティックな彼ではない。『007カジノ・ロワイヤル』のダニエル・クレイグのような若さとフレッシュさに溢れている(エピソード面でも、信頼していた人物に裏切られて徐々に擦れていくところ、カード賭博で愛車を手に入れるくだり等の共通点がある)。

オールデン・エアエンライク版のヤングハン・ソロも、あと1、2作重ねることで、(最初は感情的で荒々しかったダニエル・クレイグが次第にジェームズ・ボンドらしくなっていったように)エピソード4時点での我々の知るハン・ソロ像に仕上がっていくのだと思う。

今作を観たことで、エピソード4でやや不可解だった部分が解けたことが最大の収穫かもしれない。

《完成形としてのニヒルで独善的なハン・ソロが、なぜデススター攻撃の最後にルークを助けに駆けつけたのか?》

それは、若く情熱的なルークやレイアの中に、過去の自分の姿を重ね、心の底に眠っていた情熱が目を覚ましたため、と一応の答えを得ることができた。

ダース・ベイダーの中に眠っていた善の心を呼び起こしたことを加えて考えると、ルークの最大の才能は、フォースの強さではなく、人の心を動かす熱意なのかもしれない。

そんなルークですら、エピソード8のような猜疑心に満ちた世捨て人のようになってしまった。その姿はより悲壮感を増す。

今作は、そのまま観てもSFアドヴェンチャーとして十分に楽しめるが、最大の功績は、過去の作品やキャラクターに深みをもたらせたことなのだと感じた。

興行的に厳しいため、すぐにとは行かなくても続篇に期待。
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