友一

劇場版 仮面ライダーゴースト 100の眼魂とゴースト運命の瞬間の友一のネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

この劇場版を見て初めて『仮面ライダーゴースト』に愛着が湧きました。

『仮面ライダーゴースト』という作品はあまり好きではなかったんですよ。作中で描かれる教訓じみたメッセージも死生感も、ことごとく肌に合わなくて...。シリーズを見続けていても何が争われて何が解決なのかもよくわからない...敵も魅力が無いし。なので、仮面ライダーシリーズの中でも珍作もしくは駄作の部類に入るよなあなんて思ってたんです。

そんなもんだから劇場版に手が伸びるわけがないじゃないですか。でも一応仮面ライダーファンを自称している身ですから、嫌々ってほどじゃないにせよ、まあ見てやるかと思って見たわけです。

やっぱり色々ありました。
敵の野望もクライマックスの舞台装置も、なんか『仮面ライダーW forever AtoZ 運命のガイアメモリ』を超ショボくした感じだなあとか、英雄たちのルックスや存在感が全体にチープ過ぎやしないかとか、沢村一樹の出番はそれだけかよ(演技自体はマジで素晴らしかったし、『movie大戦ジェネシス』でタケルの父親のエピソードを掘り下げたから今回はマコトの父親の話になるのは当然だし納得できる)とか、とかとか。

お話の不満を簡単に言うと、ドラマ薄っ!って感じでしたよ。正直。

あと、氣志團の「我ら思う、故に我ら在り」というテレビシリーズの主題歌を何故クライマックスの盛り上げで使わずにどうでもいい中盤で消費してしまったのでしょうか。あんな素晴らしい特ソンなのに、意味がわからない。本作で一番ガッカリした部分かもしれない。

しかし、クライマックスからラストにかけては心動かされました。
「みんなとご飯が食べたい!」というタケルの戦う理由に萌えたというのもありますが、自己犠牲展開にグッときました。

一度死んだ主人公が生き返るためにズルして戦うくせに、命の尊さとか人に説教しくさるテレビシリーズが嫌いだったぶん余計に感動しました。

タケルの会心の笑顔で幕を閉じる。それを見た瞬間、全てがいとおしく思えてしまいました。色々書いておきながらあれですが、かなり好きな方のライダー映画になってしまいましたよ。笑顔でストップモーションというのは万国共通の傑作の証ですな(適当)

諸田監督のベテラン演出家っぷりに改めて感心してしまいました。そういえば仮面ライダーの映画を手掛けるのは初めてじゃないかしら...意外。監督お馴染みの水表現も惜しみ無く使ってましたね。中盤、ダーウィンのいた隠れ家のロケーションを見るとどうしても『仮面ライダー響鬼』を連想しちゃいます。
友一

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