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忍びの国のトリニティのネタバレレビュー・内容・結末

忍びの国(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

人を人とも思わぬ虎狼と呼ばれる伊賀の々

普段は畑を耕し百姓として生きている普通の人が戦のために常日頃より命をかけた鍛錬をし忍者として戦に買われて行く

そこにあるのは殺し屋としての日常なのだ

赤子の頃に買われて伊賀にやって来た幼子達は殺し屋として育てられるのだ

人として名前すら与えられずに育つ人生とはどんな人生なのか

殺し屋には名前も心も必要ない

戦闘能力は育てるが心を育てることはない

心があれば人をあやめるときに迷いが生まれ、職業として殺し屋としての忍者の能力の妨げになる

遠いイスラムのテロリストの世界では戦士として子供を誘拐して育てると言う
 
子供を殺し屋としてそだてる悪行
現代ではテロリストしかやらぬ悪行でNHKでも番組にするほどのことである

殺し屋として育った人々がゆえの虎狼の群れである伊賀

けしてワガママな欲望から金の為だけに生きているわけではない

そういう生き方しか教えられずに生きて来たからしらぬのだ

そこで育てられた主人公無門が、お国と言う普通の社会で愛を持って親に育てられた人間の心を持つ女房と関わり、人としての心が芽生えて行く無門

伊賀に育つ人々の悲しい生い立ちを踏まえてみるこの映画のエンディングは涙無しには迎えられません

もちろん映画にはそんな重い気配は微塵も感じさせないポップなコメディタッチで笑いを交えストーリーは進んでいく

「赤子の頃に買われてきたので自分の名前をしらぬのだ」

このセリフに込められた意味をどれほど理解できるかで、この映画の価値が変わる


人を人とも思わぬ人でなしの虎狼の群れを現代社会に重ね合わせてみる

現代社会にも確実に存在する虎狼な人々

それは本人達の原因なのだろうか

などと深いテーマが隠れているこの映画はかなりの名作です

#映画ファン賞2017
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