柏エシディシ

ガザの美容室の柏エシディシのレビュー・感想・評価

ガザの美容室(2015年製作の映画)
2.0
パレスチナの美容室という密室状況における基本女性だけの群像劇。
「死」より「生」を描きたかったという兄弟監督のステイトメントには大いに賛同したいのだけれど、本作では十分にそれを語りきれてない様に感じてしまった。

限られた空間、時間に作品をとざして、演者のセリフや演技から、そこには描かれない世界や思惑を膨らませていくのが、この手の作品の肝だとは思うのだけれど、踏み込みが甘いというか、もう少し一人ひとりの存在を膨らませたり、丁寧に描いて欲しかった。
自分は男だから、敢えてこういう喩えをするのだけれど、この作品や登場する女性たちをもっと好きになりたくて、映画に集中していくのだけれど、肝心な所は見せてくれないというか、教えてくれないというか。そんな印象でした。

逆に、女性が見れば、女性同士の独特の緊張感や連帯感など、遠くパレスチナの地の女性とも繋がる所が感じられて、また感じ方が変わるのだろうか。
ポリコレ的にこういう言説が良いのかはわかりませんが、今のところは率直な感想です。

予定調和を避けたアンチクライマックスな展開はヨーロッパ映画よりではあるのだけれど、それとはまた違う感触なんですよね。。これが兄弟監督の狙ったものなのか。単に作品の拙さなのか。もしくは自分の無教養の為なのか。

未経験の演者の中に混じって、ヒアム・アッパスはさすがの存在感。なだけに、個性的な登場人物の中でもっと演技のアンサンブルも楽しみたかった
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