ガザの美容室の作品情報・感想・評価

「ガザの美容室」に投稿された感想・評価

mai

maiの感想・評価

4.8
KBCシネマで観ました。
観ようか観まいか…迷ったのですが、1週間限定の上映でこれを逃したらもう観れない!という気持ちから観に行きました。
観て良かったと本当に思える映画でした。

ストーリー性があるわけでもないし、映像美があるわけでもないです(女性たちは美しいけれど)。でも、十二分に私に衝撃を与えてくれる映画でした。

美容室という(私からすると)明るく華やかなイメージの場所に反して、そこに集う女性たちは店員も客も全員何かしら鬱々とした気持ちを持っていて、それが言葉の端々や行動に現れています。他人に毒を吐いたり、そわそわと落ち着かなかったり。
それがどんどんと溜まっていって、外で起こった銃撃戦とともに今までギリギリ保てていたはずのバランスが一気に崩れます。
銃撃戦が起こる中でも化粧を続ける女性たちは気丈ながら、隠しきれない緊張と不安が入り混じったピリピリとした感情が顕在化してて、それが口論や喧嘩につながります。その中でも、何とか平静を取り戻そうと全員が努めているのが分かるからこそ、彼女たちと行き場のない不自由さが分かるからこそ、胸にくるものがあります。

この映画がリアリティのあるものなのか、それともフィクション寄りなのかは分かりません。でも、こんな世界が広がっているなんて…と思わずにはいられないです。

上映中、前半部分はポップコーンやジュースの音が周りから微かになっていたのに、後半部分に入るとそれもしなくなって、映画鑑賞者側までもが緊張している雰囲気になっていました。
上映後、席から動けずにいる人や、無言で帰っていくカップルが印象的でした。
面白い・面白くない、というよりかは、衝撃的かどうかで測るべき映画だと感じました。
パレスチナ、ガザの美容室。
各々の事情が見える閉じられた空間で、戦争状態を追体験する恐怖。

少女。怒りっぽい女、ロシア文学を愛する新婦、その母、姑。
恋人ともめている女、おしゃべりな女、敬虔な女、妊娠している女、女女女。
美容室の外には、ライオン。ライフル。恋人。男たち。銃弾。爆発。戦争。

「女は有能だからいい政府を作れる。ハマスがもたらすのは貧困と破壊だけ。イスラエルはおまけ」とおしゃべりな女が暗い部屋で言う。
あー、いいなぁ。
彼女たちの世界は、イスラエルなんかにどうこうされないんだ。

銃弾と爆弾に揺れる停電の美容室で、涙で口紅を塗る強さがたくましくて、でも一方で結局、男の戦争に振り回されて、疲れ果てて、平気な顔して泣いている。国に閉じ込められ、貧しく、治安は悪い。

本当に、「オシャレする。メイクをする。たわいないおしゃべりを、たわいない毎日を送る。それが、私たちの抵抗。」なんだろうか?
このコピーだけ見ると、「パワフルなイスラム女性たち」みたいなものを思わせられる気がするけど、実際みんな平気な顔してプツンとはちきれそうな緊張感、閉塞感、疲弊感がある。

本当にオシャレしてメイクすることが女の抵抗なのか。確かにそうであり、でも抵抗といっても、実に消極的で受動的な抵抗にしかなりえない。結局戦争に巻き込まれ、悲しい思いをしている女たち。重い。

ちなみに、ずいぶん手際が悪い美容室である。
一人の脱毛にどれだけ時間かかるんだろう。。
林檎

林檎の感想・評価

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私はガザがこんな状況にあるということさえ知らずに、ただグリーンの壁紙のジャケットに惹かれて鑑賞。ジャケットにも映っているメスライオンはフェミニズムのメタファーなのか。

美容室という女性だけの世界で繰り広げられる会話劇は、下品だったりヒステリックで忙しなかったりで、正直最初は観ていて疲れた。でもこの人たちにとっての外の世界はもはや戦争が日常と言っても過言ではないくらい荒れ果てていて、そんな中で生きていたら情緒不安定にもなるか ・と納得したりも。
異質でリアルで不思議な感覚の作品でした。
あず

あずの感想・評価

3.5
パレスチナ自治区、ガザに生きる女性たちの日常を描いた作品。

男ばかりの戦争映画を女性主体で、なおかつ非日常の戦闘シーンはほぼなく、美容室でおしゃれをする、という日常行為をワンシチュエーションで描いている。

面白いーーって感じではなかったけど、監督はガザ出身の双子だからきっとリアルなんだろうな。マフィアがライオンを連れている日常は、平和な日本にいると想像もつかない。

あと、エメラルドグリーンの壁と花柄の壁紙という組み合わせがとても可愛かったのでこういう部屋に住みたいと思った。
nohohon

nohohonの感想・評価

4.0
小さな美容室に集う個性豊かな女性たち。
閉ざされた空間で繰り広げられる舞台劇を観ているような感覚だった。
会話から浮かび上がる彼女たちの事情。
そして、外では戦闘が始まり、完全に閉じ込められてしまう。。。
美容室の中の女の世界と外で争う男の世界の対比。
これは戦争に対する女たちの抵抗の映画、最後まで力が抜けない映画だった。
yoichirrr

yoichirrrの感想・評価

3.5
強烈で斬新な1本。
全く新しい視点を植え付けられたように思う。

勧善懲悪ではなくリアルを感じた。
描かれている普通の女性たちの日常の直ぐ隣で起きている戦争、狂気の中それでも日常の営み。治ったら裏から迎えに来てって誰かに普通に電話!まるで雨が止むのを待つように、戦闘を普段のことのように捉える逞しさを思わせる不思議な映画だった!ただ一つだけ髪の毛整えるのに一人に時間かかりすぎじゃないのかと思った笑笑
SC07

SC07の感想・評価

3.5
映画としてはまぁまぁ。内情を知ると、見えてくる真実がたくさんある。
尺は短いけれど、それでちょうどいいと思えるくらい、濃い85分間でした。美容室からほぼほぼ出ない密室劇でして、その分会話の応酬です。会話というか、罵り合い?観ていて疲れるけれど、それもよし。演劇にしても面白そう。

ガザ地区の戦争に終わりはない、しかし日常も終わらない。

美容師の女性の彼氏が、喧嘩の最中に、首輪でつながれたメスライオンを店の前に連れて来る。それは男性社会で抑圧された女性の隠喩のようだし、本当は力強い真の女性像を表しているようにも思える。
uedachiaki

uedachiakiの感想・評価

2.8
あんまり覚えてない、最初から最後までなんか悲しかった。思い出したら書く。
宗教を大切にする人、ヤク中のおしゃべり、花嫁と母親と義理の家族、妊婦、そして二人の美容師、離婚調停中の女性、いろんな境遇の人たちが出て来た。

こんなにずっと頭がキリキリ痛いような切迫した映画だなんて思ってなかった。
髪を綺麗にしたかったり、脱毛をしたかったりみんな普通の女の人たちだった。
私たちと変わらないような欲望を持っていて、若さへの妬みがあったり、夫がだらしないとか暴力を振るうとか悩みがあったり。
でも、ベースが全然違った、彼女たちを覆っているものが全然違った。
常に争いに怯えて、男たちの暴力に怯えて、愛する男が奪われ壊されることに常に怯えていた。
今の私にはこの映画を全てわかることはできない。
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