ガザの美容室の作品情報・感想・評価

ガザの美容室2015年製作の映画)

Dégradé

上映日:2018年06月23日

製作国:

上映時間:85分

あらすじ

オシャレする。メイクをする。たわいないおしゃべりを、たわいない毎日を送る。それが、私たちの抵抗。 パレスチナ自治区、ガザ。クリスティンが経営する美容院は、女性客でにぎわっている。離婚調停中の主婦、ヒジャブを被った信心深い女性、結婚を控えた若い娘、出産間近の妊婦。皆それぞれ四方山話に興じ、午後の時間を過ごしていた。しかし通りの向こうで銃が発砲され、美容室は戦火の中に取り残される――。 極限状態…

オシャレする。メイクをする。たわいないおしゃべりを、たわいない毎日を送る。それが、私たちの抵抗。 パレスチナ自治区、ガザ。クリスティンが経営する美容院は、女性客でにぎわっている。離婚調停中の主婦、ヒジャブを被った信心深い女性、結婚を控えた若い娘、出産間近の妊婦。皆それぞれ四方山話に興じ、午後の時間を過ごしていた。しかし通りの向こうで銃が発砲され、美容室は戦火の中に取り残される――。 極限状態の中、女性たちは平静を装うも、マニキュアを塗る手が震え、小さな美容室の中で諍いが始まる。すると1人の女性が言う。「私たちが争ったら、外の男たちと同じじゃない」――いつでも戦争をするのは男たちで、オシャレをする、メイクをする。たわいないおしゃべりを、たわいない毎日を送る。それこそが、彼女たちの抵抗なのだ。

「ガザの美容室」に投稿された感想・評価

kyoko

kyokoの感想・評価

3.7
てっきりイスラエル軍vsパレスチナ人かと勘違い。美容室の外で起こっているのはパレスチナ人同士の抗争だった。

女主人はロシアからの移民。そのせいかどことなく冷めている雰囲気で客の会話にも入らない。「早くしてよー」ってつつかれてもスルー。たったひとりの従業員にも厳しい態度だ。
結婚式を控えた花嫁の後ろには姑、小姑、実母が雁首を揃えていてなんとも言えない緊張感w
離婚調停中で担当弁護士との逢瀬を楽しむ女のむだ毛を、マフィアの男と別れ話で揉めている店員がキレ気味にワックスでバリバリ毛を抜く。
ドラッグ中毒の女とどんなときでもヒジャブを取らない敬虔なムスリム女。このふたりの会話が面白い。
妊婦のお腹ははち切れそう。

そんな中で起きた外でのドンパチ。

電気を止められた中で、店主はランタンのあかりひとつで花嫁にメイクをする。ここにきて結婚式を中止しようという気がないのに驚いた。
こんなことは日常的に起こっていることだからだろうか。

ファタハだろうがハマスだろうが、働かないのも暴力ふるうのも戦争するのもみんな男!男たちみんなバカ!

花嫁にドレスを着せることは女たちの意地のようにも見えた。

この生活、パレスチナ、世界の状況が、変わらず明日も続くのだと思わせるようなラスト。
密室劇特有の中だるみはあるが、なかなかの良作だった。
結婚式があるとか、いい男とのランデブーがあるとか、出産控えてしばらく来れそうにも無いから来たとか、そういう女の日常とハレの日の交わる場所なんだな美容院。戦時中であることが非日常の世界ではないことが際立っていた。

全体的に重いトーンでした。人物の立ち位置をもっと楽しめればよかったな。その辺りはあんまり説明してくれないのでパンフレット買えばよかった。

殆ど美容院(それも狭い)のシーンで構成されてるのがすごい。
けど若干中だるみ気味だったかな、、
saaaey

saaaeyの感想・評価

4.3
‪抜け出せない戦争、変えられない日常に対する女性たちの抵抗が「おしゃれをすること」「たわいもないおしゃべりをすること」‬

「戦争のある国で生きる女性や子供たちは可哀想だ」といった認識を持つ人は少なからずいると思いますが、そういった人たちが観て、新しい考えを持つきっかけになるような映画だと思います。

ただ可哀想なだけじゃない、日常を懸命に生きる同じ人間なんだなあと思うと、
なんだかパワーをもらえたような気持ちになりました。
いち麦

いち麦の感想・評価

4.0
ヒジャブを脱いだ女達の赤裸々で啀み合う様な会話を聞いていると、愛情とは裏腹な、アラブ社会独特の男女間の関係や、ファタハとハマスによる分断支配に喘ぐパレスチナの実態が見えてきて興味深い。やがて外で起こった戦争紛いな衝突事件。銃声と爆砲轟く混沌とした状況ながらも、その概要はしっかりと窺える良くできた作り。ワン・シチュエーションに収めた巧みな社会派フィクション・ドラマになっていて圧巻。
櫻

櫻の感想・評価

-
外では、戦火が燃えている。銃声にかき消されそうな、女性たちの日常。震えながら塗る口紅やマニキュアの赤い色は、彼女たちのあらゆる選択への決意表明の色だった。彼女たちは、外の男たちのようには戦わない。いちばんすきな自分になることで、自分の決定した人生を生きることで、抗うのだ。社会的に虐げられている女性たちは、思い思いにおしゃれをしに美容室へやってくる。この狭い美容室はガザの現実から隔離されているように思えるけれど、不条理と抑圧の入れ子状になった、ひとつの国のようだった。戦場と化した外側と、閉鎖され抑圧された内側。その境は、簡単に崩れてしまう砂の壁。あるいは、境など初めからなかったのかもしれない。その内と外の構造の波は、私たち観客の日常へも侵食している。見渡せば、日常は見えない弾丸の飛び交う戦場のようだ。私たちは、緩やかな死など目指していない。今起こっていることが、破滅と死しか生まないのだとわかっているのは、この美容室にいる女性たちだけではないはずだ。大丈夫、遠い国の話だから、と言い切れない世の中に生きてしまっている。

パレスチナの成瀬巳喜男と称されている、アラブ・ナサールとタルザン・ナサールの今後の作品を、ぜひ観ていきたいと思った。
美容とガールズトークで常態化した破壊と抑圧に抵抗!的なフェミニンなやつだと思っていたが(ポスターもそんな感じだし)あの美容院に集う女の人たちは他に行き場がないからあそこにいるだけで、逆に美容院っていう日常的な場と倦怠トークが彼女たちの閉塞感と抵抗の不可能性を強調するネガティブヘビィ体験。怪獣の出てこない「ミスト」みたいな(比べるなよ)
なつ

なつの感想・評価

4.0
ガザ地区は、1967年にイスラエルの占領下に置かれ、90年代半ばから徐々に周囲と隔絶された。
一つの検問所を通じてしかイスラエルへ出入りが出来ない。
隔離された閉塞感から、ガザは“天井のない牢獄”と呼ばれる。
そんな“ガザ”にある美容室でのワンシチュエーションドラマ。
私たちが、ニュースで見るのは派手な空爆シーンしかない。
パレスチナ問題をより理解する為には、現地の人々の日常に目を向ける必要性があるなと感じさせてくれる映画だ。
美容室での彼女達の四方山話から、普通ではない暮らしが伝わる。
暮らしの何もかもに制限があり、占領状態が70年にも及ぶ。
何で、イスラエルの“占領”を国際社会が許しているのだろう…。
ワンシチュエーションドラマとしても非常に見応えがあり、面白かったので本作が契機となり、興味をもつ人が増えることを願いたい。
Zhivago

Zhivagoの感想・評価

4.7
予想外に良かった。パレスチナ映画。パレスチナというと戦争とか難民のイメージしかなかった。しかし当たり前だけれども、そこには生活、恋愛、結婚 、男女の諍い、姑の存在、いろいろあるんですね。
観た後、ガザの90年代以降の情勢について少し勉強した。ハマスとファタハとか。そういう機会を与えてくれることも映画の意義の一つだ。学習の機会を与えてくれることで映画料金は授業料を兼ねるようになる。

やはりアップリンクさん配給はいい感じのところを突いてくる。

争乱地区のなかでの美容室のシチュエーションドラマ。十二人の女と一人の女の子。ロシア語を話すロシア人の店主、花嫁姿になろうとするお嫁さんとその家族、敬虔なイスラム教徒、etc

戦闘は音でしか聞こえてこない。が、音でしか聞こえないことでその恐怖と現実が一層浮き彫りになる。
イスラエルのドローンの飛ぶブーンという音がずっと耳に着く。砲撃や銃撃の音が気になってセリフを追いきれない。屋外の音が気になって仕方がないのだ。音の良い映画館でこそ観る映画。ソフトで観るときっと良さが半減する。

これが双子監督の初の長編らしい。今後が楽しみだ。
PunPun

PunPunの感想・評価

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延々と狭いお店の中で繰り広げられる会話の作りが長く感じ少し疲れたけど、それが逆にガザの「閉塞感」という感覚をイメージさせてくれたかもしれない。
遠く離れた日本にいると基本的にはイスラエルとパレスチナと周辺国と大国という大きな図式の情報が入ってくるくらいだけど、実情はこの映画で見れるような内部対立も加わり複雑過ぎるので大半の人は「よく分からないけど大変そう」となってしまうんだろうな。
tatari

tatariの感想・評価

3.5
強い興味を持って、ヨルダン川西岸地区まで行った自分から観ると中々行く事の出来ない、ガザ地区の(超限定された空間だけど)生活が見れるのは素直に興味深い。
ただ、この1シチュエーションで押し通すにはあまりに露悪的なキャラに徹する中年女性をはじめ、役柄が平坦だし同じようなやりとりが延々に続くのは厳しい。設定とかはかなり面白いがゆえにかなり、惜しい。
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