わんろー

手紙は憶えているのわんろーのネタバレレビュー・内容・結末

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

戦時中のアウシュヴィッツで行われた大量虐殺の被害者家族となったマックスによる復讐の物語。

マックスが入居していた介護老人福祉施設に来たグッドマンを見て、被害を受けた事を思い出す。忘れたことはない。その男は認知症を患っていたのが幸いなことに、それを利用して復讐劇を行う。

それに使ったのが、マックスがその怒り憎しみをこめてきた手紙。

認知症のグッドマンは寝たら忘れてしまうため、その手紙を見るたびに自分の使命を思い出し旅に出る。途中で人違いの男を殺してしまうが、その後にシャワーを浴びて一眠りした彼の行動は異常さを物語る。

最後に行き着いた人物が、マックスが探していた人と合致し、今までの偽りの人生を家族に公表するように銃口をつきつけ促す。そこで分かったのは、マックスの指示により動いていたグッドマン自身もマックスの復讐の対象者となっていたということ。

一番印象に残ったのは、グッドマンと男(最後に殺された)は後悔の念にかられながらナチとしての自分の使命を果たした後、囚人であるユダヤ人に混じるためお互いに前後の番号を刻印して逃走したという事実が明かされるシーン。

戦争は悪いことで、その時のナチがやったことも許されることではない。
けれど、マックスの執念、憎悪の果てが殺人という過去と同じ事を繰り返してしまう過ちを犯してしまったこと、それが一番怖いことだと思った。