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アリー/ スター誕生のtouchのレビュー・感想・評価

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)
4.4
"古い生き方は葬ろう"
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ブラッドリー・クーパーが初監督・製作・主演
スターダムを駆け上がる新人歌手をレディ・ガガが熱演。
「本当にこれが初監督?」と疑いたくなるほどの完成度の高さ。全てのシーンが愛おしい。
二人のキャリアの集大成ともいうべき傑作。
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監督クリント・イーストウッド×主演ビヨンセからバトンタッチする形で実現した本作。
単純に目にも耳にも楽しい音楽映画として一級品だし、ロマンス映画としても確かな脚本力と演出力でしっかり心揺さぶられるドラマに仕上がっている。
主演二人の信頼と実力が奏でる極上のエンタメ作品です。
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歌モノ競合作『ボヘミアン・ラプソディ』がラストシーンに感動最高到達点が来るよう、尻上がり的に構築されているのに対して、
本作は冒頭から地鳴りのような轟音で一気にブチ上げ、熱狂の渦に引き摺り込んでくるのだ。
あとは何も案ずることはない。
最後まで音楽のパワーに身を任せればよい。
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歌唱シーンは一般的なカメラの視点よりもさらに近く、汗や涙の光る粒すらも見えるほど極端な接写で撮られており、ステージ上の二人に近い視点の臨場感でライブを体感させてくれる。
間違いなく劇場映えする作品である。
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ブラッドリー・クーパーは本作のためにギター演奏を猛特訓しており、実際のフェス会場で吹き替えなしのガチ演奏&歌唱をこなしているだけでなく、なんと曲作りにまで挑戦したという。
なんだそれ。本物のロックスターじゃないか。
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ガガ様の卓越した歌唱力はもはや言うまでもないとして、自然体の演技力を褒めちぎりたい。
作り込まれたビジュアルの普段の"レディ・ガガ"像を覆すような、素顔に近い薄メイクが新鮮に映る。
トイレの「Fxxk〜!」から始まり、ゴミ出しして鼻歌混じりに坂を上っていくタイトルオープニングのカッコ良さ。
"最悪な環境からあとはアガっていくしかない"という心地良い高揚感。
そこからの二人の邂逅は本当に痺れた。
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しかしまぁ、ガガ様はこれが映画初主演というのだからさらに驚き。
天は彼らに一体何物を与えたというのか…
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ブラッドリー・クーパーは今後も監督業に注力していきたいと語っているそう。
今作の高いハードルを越える、更なる傑作の誕生に期待したい。
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"一度呼び止めてからのアレ"が愛おしすぎる。
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