わかりやすい。明確。こんなにやるべきことがはっきりしてるのにそれが実行されてないのはなぜ?そのへんのことやこれに対する反論とか懸念点があるならそれも教えてほしかった
以下ポイント箇条書き:
・金融システムは過去40年で(端的には規制緩和の方向へ)大きく変わり、その経済に占める比率は倍増。でも経済成長自体は減速している
・統計によれば、大型金融機関からの資金で生産的な融資はたった15%。残りの85%は金融システム内で回るだけ。同じ人が資産を売買し、価値を釣り上げる
・現代社会では金持ちは生産活動のリスクから財産を遠ざけるほうが楽になっている。たとえばある物件を建てて、たとえそこが空室だらけになったとしてもその物件価格が5年後にはほぼ確で上がるとわかっている状況では、リスクを抱えて工場建設とか発明に投資するより、脳死でその物件を建てたほうがずっと楽に儲けられる
・家の値上がり益は普通の仕事の稼ぎよりずっと大きいから、みんな不動産投機家になる。これは住宅市場の仕組みを変え、分断も生む。たとえば西欧諸国の住宅危機は若者への影響が大きい。ベビーブーマーは安く家が買えて貯蓄もできたが、今の若者はそれができない。そしてこれは世代間闘争につながる
・ピケティ「資本主義の未来は格差のさらなる拡大と低社会移動(社会的地位の固定化)」→それはすでに起き始めている
・産業革命の始まりである1700年から過去3世紀をみると、世界経済の成長率は年1.6%、長期的な資本収益率は4-5%であり、経済の成長率より資本収益率のほうがずっと高い。でもこれ自体は悪いことではない。もしみんながアパートなどの資本を持っていて、年金基金経由で共有していれば。問題は財産の集中と社会権力の集中であって、これが社会的地位の固定化と人々の区分や対立をもたらす
・現代の問題は国際資本主義を抑えられないこと。多国籍企業や金持ちにきちんと課税できない。でも人々はその不満の矛先を移民に向ける。彼らを叩くのは多国籍企業を叩くより楽だから。そしていつの時代も政治家の一部は格差拡大を彼らの支持率を高めるために悪用したがる。でも格差拡大とその永続化を避けるには累進資本課税が必要。また財産権も永久に続いてはいけない。世代ごとに最初の相続時だけでなく生涯にわたり、資本の多い人は社会に対し1-3%ずつ返すこと。大金持ちなら5-10%でもいい。そうすればかれらは、有益な投資を続け、高収益を得れば金持ちのままでいられるが、金融市場で不労所得を得るだけなら巨額財産の課税で潰れるようになる。これなら資本の集中と政治権力集中も抑えられるし、中産階級は不動産が買いやすくなる