荒野のマネキン

21世紀の資本の荒野のマネキンのレビュー・感想・評価

21世紀の資本(2017年製作の映画)
3.3
髪が紫色のおばはんは出てこないから安心して見て欲しい。
なお、結局のところ引用される『怒りの葡萄』がいかに普遍的かという話で、私たちが責めるべきは目の前のブルドーザーの運転手でも雇い主でもなく、いつの時代も手の届かない直視不能の何かの集積である。
狂騒の20年代の建設ラッシュを見つめるウィリアム・カーロス・ウィリアムズの詩篇だとか、レーガン政権下のジョン・カーペンターだとか、そういった先駆者たちの啓蒙にも似た悪態を意に介さず、ちょっとばかりの目に見えやすい差異を気にして隣人に憎悪の刃を向け続ける私たちは永遠にミクロとマクロの見分けがつかないままなのだろうか。
私自身、経済学科を5年かけて卒業したのだが、いつまで経っても「門外漢のための一般向けの経済関連書」みたいな本を読み続けている。最近読んだ本には、資本主義はあまりに原始的なシステムであるが故に破壊されない、というようなことが書いてあった。気づけば奨学金の完済まであと3年。せめて民主的な方法で悪態をつき続けてやる。
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