YUKi

ワンダー 君は太陽のYUKiのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
4.4
遺伝子レベルの疾患で
“普通”じゃない顔をして生まれてきた
少年オギーが、10歳にして
学校という名の宇宙へ
飛び立つ物語。

‥かと思いきや油断してた。
これ、オギーだけの物語ではない。
全員が主役だった。

がんばれオギー、
がんばれ母、がんばれ父、
がんばれ長女、がんばれ親友
‥と、彼を中心として
バトンを受け取ったかのように
連鎖が起こる構成なんです。
まずこの脚本の巧さよ。

オギーはいつか宇宙飛行士になって
月に行くんだって宣言するくらい
宇宙が大好き。

科学の授業で、
その本領を発揮するだけじゃなく
やさぐれもせず、自分に正直で
キラっと光るタイミングのいい
ユーモアセンスも持っていて、
ほんまよくできた子。
天才!奇跡‼︎ トム少佐‼︎

それでもクソしょーもないスクールカーストによって
もちろん立ち直れないくらい辛い目にも遭う。

ここでわたしは、彼がなぜ
スターウォーズが大好きなのかが、
ただ宇宙への憧れだけでないことが
わかり、ぐぐっときました。

スターウォーズって、
どの登場人物も多様性を当たり前のように
受け入れてる世界観ですよね。

どんな星のどんな容姿の生き物とも
初対面時から普通に会話します。

ここね‥もうやられた。
チューイありがとう!

その後、母親譲りであろう
彼の譲れない自我やポリシーは
知らず知らず周りに正の波紋を起こすんです。

彼は“正しいことより優しくあること”を
選ぶんです。何があっても。

どこかファンタジックだし、
鮮やかで眩しいくらいのやさしさが
溢れるストーリーですが
ありがちな泣かせ映画ではない。

ラストシーンはわたしもオギーに
拍手を贈りたかった。

ひとつだけ、どうしても回収要素として
取り込んで欲しかったことが、
ジュリアンについて。

ジュリアンこそ放っておいたらいけない。
本当はきっと誰より繊細でビビリで
子どもながらの葛藤にあがいているはず。

これを描かなかったことに
どんな意味があるのでしょうか‥。

けっこう本気で心配になるくらいですが、
彼もどこかで #choosekind を
選択して、オギーからの連鎖に
巻き込まれていたらいいな。
YUKi

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