マクガフィン

ワンダー 君は太陽のマクガフィンのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
3.5
難病・差別問題を題材としたシンプルな催涙系や教示系映画かと思いきや、生まれつき顔立ちが人と違う少年オギーの成長譚を主軸とし、その周囲の人々の視線を取り入れる語り口の変化とドラマの幅を広げて絡ませるのが巧みで、感動を押し売り映画とは一線を画する。

スター・ウォーズのキャラや宇宙の妄想を絡めるアクセントやヘルメットのメタファーも効果的で、編集も上手い。

人を見た目で判断してはいけなく、相手の立場になって思いやる気持ちをテーマとして、時には立ち向かい、時には見守り、時には手を差し伸べて問題を克服することは、オギーだけでなく、支える両親や姉や友人たちの成長譚にも。

どうしてもオギーに目が行きがちで、手のかからない姉の寂しさや、その姉の友達のプロットも心情の深層に味をもたらす。各々の繊細な感情をくみ取るドラマは、全ての人に向けたメッセージで、全ての人を肯定する爽やかな温かさに包まれる。自信や自己肯定感を得て成長して幸福になる波及は、周りも呼応するかのように成長して幸せになり、家族や友人だけでなく多くの人の絆を繋ぐ模様が秀逸で、人生に様々な可能性があることの示唆にも。

オギーの10才まで自宅学習していたのに、周りに打ち解ける要因のひとつになるユーモアな発言のコミュニケーション能力の高さの違和感。いじめっこや姉の友達の母親の作中の数少ないネガティブキャラの心象問題が解決しなくフェードアウトすること。あまりにも上手くいきすぎる展開や綺麗すぎるテイストは如何と思うが、人や問題に向き合うことの重要性とそれを乗り越えて広がるやさしさに心が洗われるようにも。

それほど目立たない父親の何気ない行動が家族のバランスを整えていて、印象的に。