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ザ・ブック・オブ・ヘンリーのJIZEのレビュー・感想・評価

3.9
天才的な頭脳を持つ息子とシングルマザーが隣に越してきた少女を児童虐待から救うため一冊の緻密な計画本を武器に奮闘するヒューマン映画‼輸入版で監視。まず大予算を投じて絶大な支持を得た代表作『ジュラシック・ワールド(2015年)』を手掛けたトレボロウが、その続編を手前にどういう新作を放り込んでくるのか…期待と不安がかなりあったが完璧にジュブナイル路線であまい感傷にひたらせる哀愁ある作品だった。また構成が非常に奇妙。いわゆる前半では息子とのヒューマン要素が盛り込まれ後半では軽いサスペンスで構築されている。要は生前に息子が構想した"ある作戦"を親が実行にうつす客観的に取れば類を見ないかなり奇っ怪なプロットである。深刻な児童虐待が社会問題として作品の背景にあるなかで白イヤホンから流れ出る息子の音声を元に母親が手順を踏んでいく様は息子と親の絶大な信頼が描かれている。全体のストーリーだけなぞれば非常にイビツで恐ろしいホラー映画、になる筈が子役たちの純粋で粘っこい静観なる芝居から本作の物語には暖かい息吹を与えられたのではないだろうか。総じて後半の現実離れした作戦を排せば親と子の静かな攻撃性が輝る良作であった。
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