菩薩

女を修理する男の菩薩のレビュー・感想・評価

女を修理する男(2015年製作の映画)
4.1
ムクウェゲ医師の新たなドキュメンタリーが3月に公開されると言うので、ようやく重い腰を上げて部屋の片隅に積んであったDVDを再生機器にパイルダー・オン!して観たのだが、ただただ絶句している。

と言う事で勝手に引用させて頂くがまずはこちらをお読み頂きたい。https://toyokeizai.net/articles/-/242000?page=2

観る前は「修理」なんて随分と傲慢なタイトルを付けよってと思っていたが、コンゴで起きている性的テロリズムは「破壊工作」の一種であり、女性の身体のみならずあらゆるコミュニティをも破壊する行為であるのだから「修理」と言う表現はおそらく正しい。その被害は凄惨だとか壮絶だとか残酷だとか、そんな甘っちょろい言葉では到底表現出来ない。日本のミソジニーの極致がかの女子高生コンクリート詰め殺人事件の被害者の性器に対する著しい攻撃だとしたら、それ以上の事がしかも低年齢児を狙って日常茶飯事として横行している事、かつ訴追もされない事。政治が死に司法が死に正義も死んだ国では当然の様に罪の意識も死んでいる、そんな現状にムクウェゲ医師は命の危険も顧みず立ち向かい、国際社会に向かって危機と救済を訴え続ける。その背景に鉱物資源を巡る争いがあり、かつそれを手にしているのが今こうしてスマートフォンを操作している我々であるとすれば、無知を貫き通すのは加害と同じであると言うのはもっともな話だろう。この惨劇を日本の現状と結びつけるのも暴力的かもしれないが、いい加減「性加害」について、それが男性の問題であると言う現実にもしっかり向き合うべきだと思う。3月公開のドキュメンタリーはよりムクウェゲ医師個人にフォーカスが当たるのだろうか、おそらくこれよりは相当マイルドな仕上がりになってしまう様な気がするが…なんであれ観ます。
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