ぽち

潜水艦クルスクの生存者たちのぽちのレビュー・感想・評価

1.0
潜水艦物必須の「窒息感」と「閉鎖感」がいまいち足りないが、エンターテイメントとしてはストーリーに起伏はあり、イライラ感を煽られそれなりに楽しむことが出来る内容ではある。

しかし、どうにもプロパガンダ臭がすごくて、個人的ポリシー「プロパガンダ映画はゴミ」に従い低得点。って作品。

ノンフィクション小説を原作としているので、それなりのリサーチをしていることは伺えるのだが、冷静に見ると沈没後の船内での会話はすべてフィクション。そりゃ生存者がいないんだから当然。

軍内部の動きは大まかには合っているのだろうが、それに伴う会話や命令などはこれもすべてフィクションで想像の域を出ない。

って事は、潜水艦が魚雷の暴発により沈没。ロシア軍の救出失敗。イギリス、ノルウェーが全員死亡を確認。以外はほとんどがフィクション。

で、問題はそのフィクション部分で「悪者ロシア」を思いっきり強調していること。

実際には数時間で全員が死亡していたと思われるが、それを物語を作るために伸ばした。これはまだ許せるのだが、イギリスの救助艇が来て、救出前夜まで生きていたことにして、救出を次の日の朝としてロシア軍幹部の判断を「悪」とすることで、憎しみを煽っているのは完全はプロパガンダと言えるだろう。

そして、日和見的なのも疑問。
家族から罵声を浴びせられたのは軍人ではなくプーチン大統領だったのだが、なぜかそこは「大人の事情」で変更。この事件で大人気だったプーチンの支持率が急落したことにも触れない。って言うか、プーチン出てこないし。

ポンコツ機材でいい加減な教育の兵士が起こした大事故なのでいかにもロシアらしい事件で、言っちゃあ悪いが笑える。

ただ、なぜか今の時期タイムリーなことが重なっていて面白い。ウクライナ関係や、先日のタイタニック観光の潜水艦の沈没など、偶然だろうが、今が旬って感じの作品だ。

プロパガンダと理解したうえで、窒息感やイライラ感を楽しむ作品。でも個人的には完全アウト。



余談。
なぜに製作がルクセンブルク?
全編英語って所が疑問。
ルクセンブルクはフランス語、ドイツ語、ルクセンブルク語の3つが公用語だから、英語がどこから出て来たのか。

邪推だが、英語圏の国が作ったことにすると大人の事情でまずいことになるので、無理やり他国を持ってきたのでは・・・・

いっそうプロパガンダ臭が強くなる。
ぽち

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