映画の味方あっつマン

ディヴァインの映画の味方あっつマンのレビュー・感想・評価

ディヴァイン(2016年製作の映画)
3.6
パリ郊外にあるバラック街「ロマ・キャンプ」で自堕落な母親と暮らす10代の少女ドゥニアは、親友のマイムナと一緒に盗んだ商品を売りさばいて日銭を稼いでいた。やがて2人は地元のドラッグディーラー、レベッカの仲間となり、売人として荒稼ぎするようになっていく——。

社会の底辺に生まれれば、そこから脱却するのは、とんでもなく困難。その現実に歯向かおうとする主人公のドゥニアは、裏の稼業に手を染めていく。

離れていくドゥニアに、母親が投げかけた「私には、あなたが必要。一人にしないで」という言葉が悲しい。ドゥニアの母親が、娘に必要とされる母親であれば…。

ドゥニアも、ふとした瞬間にあどけない顔も見せる。子供らしい、本来の自分では生きていけない環境は悲しい。

「ここにいては、いけない」叫びにも似た願いは、悲劇しか呼び寄せなかった。ドゥニアが、どうすれば良かったのか、考えても答えは出ない。

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本作を観て、Netflixのオリジナル作品に、面白い作品が増えていることを改めて感じた。

Netflixは、若いクリエイターにとって、自分の作家性が出せる場なのだろう。Netflixに独占契約できれば、その時点で利益が出るのだから、作品の作り方も変わってくる。

それだけに、売り上げの半分を折半する劇場公開という中で映画を作っている監督達からは、良い顔をされないのかもしれない。

これからますます、映画は映画館で観るものという根底は揺るがされていくだろう。私も映画館よりも家でDVDを見ることの方が多いし、すでにスマホの画面で満足する層まで出ている。

映画館はこれからどうなるのか…4DX、IMAX、来場特典、合唱上映、応援上映、爆音上映に留まらず、これからはもっとアイデアが求められるだろう。