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RAW〜少女のめざめ〜のADULTVIDEOMANのレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
4.8
古典的な意味でホラー映画であるとは言いにくくて、むしろエクストリーム青春映画と言った方がしっくりきそうな感じで、その年頃特有の主体の不安の過剰な表現としてカニバリズムが用いられる、といった印象。過剰にグロいと同時にそこかしこで笑えたりもして、かな〜りセンスいい傑作(オチも笑える、つうかズッコケる)。だけれど、スラッシャー的に「怖い」のかといったらその形容詞は当てはまることはなくて、もうどうしようもなく気持ちが悪い、居心地悪い、吐きそう、パニクるしかない、といった主体内部の感覚の表現にこそ力点が置かれる。それゆえ古典的なホラーであるとは感じられないし、だからむしろこういうセンスこそが21世紀のホラーのスタンダードであるように思う。世に溢れかえる凡百のゾンビ映画も、いい加減このあたり見習って「ゾンビに襲われる怖え〜」から「わたしゾンビになっちゃうかもどうしよう」ってな不安の表現にシフトすべき時代なんじゃないですかね。
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