飯

浮雲の飯のレビュー・感想・評価

浮雲(1955年製作の映画)
4.5
「男と女と光と影」のミニマリストを極めた一作。

『浮雲』は、生活空間の連続性を排したかたちで成立している。
非日常的な光線の中で、一組の男女が出会うときに出現する排他的な時空の中で、
孤立する二人のまわりにいつもとは異なる照明が注がれるとき、成瀬映画ならではの単純な豊かさ、あるいは豊かな単純さが成立する。

小説最後の一文:「富岡は、まるで、浮雲のやうな、己れの姿を考へてゐた。それは、何時、何處かで、消えるともなく消えてゆく、浮雲である。」

存在の耐えられない軽さ
飯