KingKazukiManji

ブラック・ドッグのKingKazukiManjiのレビュー・感想・評価

ブラック・ドッグ(1998年製作の映画)
5.0
ブラックドッグを初めて観たのは中学生の時、トラックが大破するその圧倒的な映像群に惹き込まれたのを覚えている。久しぶりに観返したくなって観たが、やはりカーアクションシーンは圧巻だった。

パトリック・スウェイジといえば、ゴースト/ニューヨークの幻や、ダーティ・ダンシングだったりと、恋愛や青春映画俳優の印象が強いが、やっぱり彼は労働者階級の泥臭い役柄がいちばんピッタリとハマっているように思える。ブラックドッグの素晴らしいところは、アクションシーンよりも、この泥臭さにあると思う。パトリック・スウェイジが着飾ろうとせず、ジーパンと革ジャンに、草臥れたポロシャツを着ているところがポイント高い。そしてとにかくその泥臭さに美学というか浪漫を感じざるを得ないのだ。

もちろんこの映画は、いわゆるB級映画なのだが、アクションシーンに関していえばワイルドスピード顔負けレベルで凄い。直近のワイスピはCG多用しすぎて、アクションシーンのデキがかなり酷い。本作はとにかくトラックで破壊しまくって、最後にはトラックも破壊する徹底ぶり。そんなに爆発しないだろうという言葉すら出て来させないほど爆発させる。爆発でゴリ押す潔さが素晴らしい。とにかく演出のレベルが高く、カメラワークも最高。下のアングルでトラックをなめるように撮るカットが痺れる。

余談であるが、よくよく調べたら、撮影監督のバズ・フェイトシャインズ4世は、お父さんである3世も撮影監督であり、ランボーとかダイ・ハードシリーズに関わっている超ベテランらしく、身内であるならその手腕も納得であった。逆にこれ以降、映画業界から離れていた節があり、残念である。

あと、トラックを調べたらピータービルドシリーズという激突やコンボイ、オプティマス・プライムなどと同じらしく、トラックがカッコいいのも納得だった。

プロットは破綻していて、何度観ても登場人物の行動が理解できないところも多々あるのだが、それを覆い隠すように起こるアクションの数々が、97分とは感じさせない濃度の濃さを生み出している。CGを使わないリアルなアクションシーンというのは、どんなに金の掛かっている映画でも生み出すことのできないリアリズムというものを我々に提供してくれるのだ。
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