こえ

ガッバル再びのこえのレビュー・感想・評価

ガッバル再び(2015年製作の映画)
4.6
IFFJ2016にて、5本目。
インドでは賄賂が当たり前になっていることは事実で、社会問題のようだ。むしろそれでないと成り立たないようになってるみたい。
世を偲ぶ仮の姿は物理学の大学教授。しかし、夜は世を正す正義の味方、でもやってることは非合法、という盗賊「ガッバル」。冒頭で、収賄の常習者の役人が見せしめとして殺されるところからして、単なる正義の味方が活躍する映画じゃないとわかる。
同じ手法で、役人や警察が次々と殺されてゆき、それに伴ってその主犯の謎の男ガッバルの国民的人気は高まってゆく。悪い奴らにもっと思い知らせてやれ! と。
ここまできて、これってあのラジニカーントの『ボス その男シヴァージ』と同じ感じか? と思ったら、解説を読むと「大ヒットしたタミル語映画のリメイク」とある。完全に『ボス』のことだ。実際にオマージュとして、シヴァージの名前も出てくるし、敬意を感じた。ただ、同じようにオマージュと思われる最後のセリフはわからなかった。
本編はとてもパワフルで、ドンドコドンドコ入る打楽器の音が腹に響き、バイオレンスを映画的な快感に変えている手法はさすが。ガッバルが国民的なスターになり、最終的に収監されるときのシーンも『ボス』の荘厳さを思い出させられて、そこが圧巻。
やってることはまさに人殺し。悪事を働いてるやつを殺して世を正すわけだし(映画では「すみませんで済んだら警察はいらない」と言っていた)。甚だ不道徳だけど、映画だと割り切れば楽しめる。でもやっぱり、こういう人物がスター視される国民性は理解できないけど。
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