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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのbennoのレビュー・感想・評価

4.5
人間の心理に訴えるとても恐ろしい、でも興味深い作品です

この映画を観て最初に思い浮かべたのは、ハーバード大学のサンデル教授で有名な『トロッコ問題』
究極の選択です

心臓外科医のスティーヴンは、妻アナ、娘キム、息子ボブの4人家族ですが、家族のうち1人を殺さないと全員が死ぬ、というあり得ない状況に陥ります

選択に迫られ、彼らは身勝手になり、業と欲を丸出しに、妻と娘はマーティン(謎の少年、いつも不協和音と共に現れます)にひれ伏します

最後はロシアンルーレットのごとく、目隠しをしたスティーヴンがクルクル回ってライフルを撃ちます
マーティンがフォークをクルクル回してスパゲティを食べる行為と重なり、滑稽さの中にも不気味な感じが残ります
 1回目…ハズレ
 2回目…ハズレ
 3回目…………

ずっとタイトルに違和感があって、鹿も出てこないし、鹿殺し…って…と思ったら、勘違いでした
原題は 『Killing of a sacred deer』
『聖なる、鹿殺し』ではなくて『聖なる鹿、殺し』
私だけでしょうか?…勘違い…😢
そう、犠牲になったのは、聖なる鹿…ということです

ただし、後半に出てくる娘キムの作文でギリシャ神話がでてくるのですが、そこにも意味がありそうな…

海外の作品は、往々にして、背景に宗教、信仰、神話などが深く関わってたりします
なかなか日本人には理解し難いものもあります
それを理解した上で観てみるのも感じ方が違うかもしれません でも、分からなくても十分楽しめました
妻役のニコール・キッドマンの凛とした演技が素晴らしかったです
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