あろ

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのあろのレビュー・感想・評価

4.4
過去観た全ての映画で1番悍ましい映画と言われたらこれな映画

ジャンルとしてはホラーでは無いが、最も悍ましい映画を挙げろと言われたら自分は迷わずこれを挙げる

ヨルゴス監督は人間のもつ道徳観念に挑戦するかのような生理的に嫌な画を撮るのが本当に上手い
さらに、そこに持っていくまでの設定などの下地作りも上手くて(確かに奇想天外ではあるもののex.ロブスター)観客は不思議なくらいすんなりと受け入れてしまう

この作品は過去のヨルゴス作品よりも確実に洗練されていてかつ、その生理的嫌悪感の喚起の仕方も非常にうまい
何というかバッチィ画を撮って、ハイこれ嫌でしょ?というだけのことじゃない
どことなく絵画的な美しさもあって、しかしながら間違いなく嫌という感じ
(エスカレーターを俯瞰で撮影したあのシーンの不穏さと美しさは格別だし、終盤子供たちが這いずり回るシーンの悍ましさは何というか本当に圧巻)

しかし、これだけグロテスクなヨルゴス世界を観せられた上で最も悍ましいシーンは別にあって、この盛り上げに盛り上げられた映画世界を終わらせる父親のあの行動
本当に地味ながらもやるせなくて、悍ましくて観る者全員が緊張と失望を与えられる

美しくも悍ましいヨルゴス美学の極地のような映画

長くなりましたが一度はご覧あれ
あろ

あろ