似太郎

22年目の告白 私が殺人犯ですの似太郎のレビュー・感想・評価

4.1
【メジャーかマイナーか】

入江悠監督の場合、このようなメジャー系の大作でもどこかしらインディーズ映画的なキナ臭さが残っており現実離れした頓珍漢な内容なのにズルズル引き込まれる吸引力がある。

制作は日テレとワーナーブラザーズで、韓国映画『殺人の告白』のリメイク。平成日本の裏面史をサスペンス仕立てで描いた和製エンタメ作品。

主演の藤原竜也が不気味過ぎる。いままであまり好きな俳優ではなかったのだが本作ではカリスマ性ある殺人鬼の妖しい魅力を十二分に発揮している。TVキャスターの仲村トオルが過去の戦場での体験から狂っていく展開が悍ましい。後半のどんでん返しもギリギリ許容範囲だった。

本来アート系の監督がメジャーに行くと見事にずっこけるパターンは良くあり、特に瀬々敬久とか廣木隆一なんて酷いもんだよね。別に貶すわけじゃないけど、所詮はアングラ/ミニシアター向けの域を出ないんである。

入江さんはそういう輩に比べるとミニシアター的な映画とメジャー系の中道を行ってる感じがあり非常にバランスが良い。極端な感じも匂わせつつ、大衆からも受け入れられる感じがあって良い。そんな意味でも今が旬の映画作家と言える。カメラワークも格好良いし。最新作の『室町無頼』が楽しみだ。
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