初めから終わりまで、こんなにも泣き通しになってしまう作品は久しぶりだ。犬と暮らしたことがある人なら、そしてその存在に救われたという経験がある人なら誰でも、特別な思い入れを持ってしまうに違いない。
私自身、実家で共に暮らしていた愛犬を亡くしていて、亡くなる数年前に実家を出てしまい、老年を近くで支えられなかったことが未だに心残りだったりする。当時の記憶がリンクする切ない場面がいくつもあり、思わず涙を流さずにはいられなかった。
辛い時や悲しい時に空気を悟って側にいてくれたり、会話はできなくても人間よりも心が通じ合うのではないかと思ったりしたことは数え切れないほどあって、犬の健気さや従順さ、何よりも犬と人間の絆が丁寧に描かれているのも嬉しかった。主人公に起こった奇跡が現実でも起こったら良いなと、温かい気持ちで劇場を後にした。
