エイプリールフールなので、約4年ぶりに製作中止になった映画を偲ぶ回。


[概要]

2018年、ドリームワークス・アニメーションが公開する予定だったCGアニメ映画。
"動物ロックンロールミュージカル"と銘打たれた本作は、砂漠に住むフクロウサギが主人公。
両親に家を追い出された主人公が、仲間たちと共にオーストラリアの奥地へと旅をする物語。


[解説]

ヒュー・ジャックマンさん、マーゴット・ロビーさん、ナオミ・ワッツさん、ローズ・バーンさん、ベン・メンデルソーンさんといった豪華キャストが声優を務める予定だったアニメーション映画。

監督は、クリス・ミラーさん(『シュレック3』『長ぐつをはいたネコ』)と、ティム・ミンチンさん(コメディアン&俳優&音楽家とマルチに活動)が担当する予定だった。

特に初の長編映画監督作として、気合い十分だったティムさんは、製作のためにLAに移住。

しかし、ドリームワークス・アニメーションがコムキャストに買収された関係もあり、2017年に本プロジェクトが中止になる悲劇に見舞われた。

のちのインタビューで、ティムさんはこの出来事を「耐え難かった」と言及。

実は中止が決定した時点で製作開始から4年が経過、4分の3が完成しており、すでに5000万ドル(現在の日本円にして約75億円)が費やされていたとのこと。

ティムさん自身も、毎年のツアーやいくつかのブロードウェイ企画、テレビ番組の打診を断っていたそうで、本作の製作中止は彼のキャリアにとっても大きな打撃を与えていたようだ。

正直、本作が発表された時期のドリームワークス・アニメーションは、"怪盗グルー"や"ミニオンズ"シリーズで知られるアニメ会社"イルミネーション"に人気を奪われ始めていたタイミングだったのもあり、スタジオとして公開しなかったことは英断だったのだろう。

しかし、スタジオ人気復帰の兆しとなったヒット作『ボス・ベイビー』と同年公開だったことを考えると、興行収入が奮わずとも"動物ロックンロールミュージカル"という新たなジャンルを開拓する意味で、大きな意義があったのかもしれない。

長期間にわたって製作されるメジャー映画のお蔵入りは、会社にとっては有益だとしても、時に誰かの人生を狂わせたり、未来の映画の可能性を狭めてしまうかもしれないことを思った本作。

近年、ドリームワークスアニメーションが再び軌道に乗り始めたこともあり、いつか本作の存在が糧となる新作が生まれることを望むばかりだ。


参考

『長ぐつをはいたネコ』続編は2018年公開！ドリームワークスがラインナップを発表｜シネマトゥデイ
https://www.cinematoday.jp/news/N0063786
(初期の発表はこちら)

'Larrikins' Shut Down: Animated Musical Starring Hugh Jackman, Margot Robbie
https://deadline.com/2017/03/larrikins-scrapped-hugh-jackman-margot-robbie-musical-dreamworks-animation-movie-1202039809/
(日本の記事ではあまり言及されていない本作の情報についてはこちらを参照)

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