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サバイバルファミリーのyochinoirのレビュー・感想・評価

サバイバルファミリー(2017年製作の映画)
3.8
電気系統が全て使えなくなり、家族4人で東京からお母さんの実家のある鹿児島へ向かう。
スーパーで食料を買い漁る姿や、たくさんの人が道路をぞろぞろ歩く姿、電気のつかない夜の星空の綺麗さが、震災のときを思い出させる。

この一家のお父さんが本当にダメダメでギャーギャー言う割に何もできない。でも主婦のお母さんや、意外にも現代っ子の息子には案外生きる術や知恵がある。
そして、田舎で農業や酪農を営む人の生きる力は飛び抜けていた。

いまは本当に便利な世の中になり、人はいろんなものに頼って生きていて、そろそろ考えたり判断したりも必要なくなるかもしれない。もちろんそれも素敵な世の中だけど、自分の生きる力を身につけておくことの大切さを思い出させてくれた。
震災の時もそうだったけど、不便さは人と人との関係にまで影響を及ぼし、別な意味で豊かな生き方を送ることができるのかもしれないと思う。

映画の後半で一家は本当に大変な目にあい、つらい気持ちになったけど、その反面家族の絆が強まり、またひとりひとり人間らしさを取り戻していく姿にグッとくるものがあった。

コメディ?と思って何気なくみた映画だけどコミカルでありながら笑えないほどの危機感が満載で、心温まるよい映画だと思う。
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