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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~のharunomaのレビュー・感想・評価

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『ウーナ』の脇役の一人の彼が、このように主演の映画ができるというのは、喜ばしいことかも知れない。『ウーナ』の時のあのあやうい目の方がよかった気もする。
途中まで鑑賞。

南部か西部か知らないが、デレク・シアンフランスからの画面は、退廃的リアリズム推しで、決してイーストウッドのドラマには届かないだろう。このような主題とルックは、『レスラー』あたりからあるし、『ダラス・バイヤーズクラブ』が一番良かった(まぁフィクションだが)。デレク・シアンフランスらは、倫理的にはネオコンの延長にしかないように見える。

キャンピングカーはそのフロントガラスの大きさからも、明らかにもう一つのバスだし、自然、ユリイカやらさすらいを思い出した。


音響処理は凡庸ながら、強烈。
いかに我々は、映画において、音を見ているか、あるいは、と思わせる。サイレント映画から続く、音楽、様々な音で溢れる映写という映画の機構が、アマプラオリジナルなる家での鑑賞において、さも音が聞こえない状況は、サイレント映画のそれ、かのように偽りの歴史を喚起もさせ、であるからこそ、前提の認識がそもそも履き違えられてしまう、かのように見える。

だが、聞こえる、聞こえないの音響のスイッチングは、ともすれば何の根拠もなく、ただ監督がそのタイミングを見ているだけにも見えてしまう。その倫理的判断がシネマの側にはない。
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