ぺん

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~のぺんのレビュー・感想・評価

4.2
アカデミー賞受賞も納得の良作でした。
聴力を突如失ったメタルドラマーというキャラ設定がすごく良い。
音と共に過ごしてきた彼のアイデンティティと言ってもいい聴力。それが突然奪われていく恐怖や絶望を見事な音響の変化で表現してみせ、観る側も音を失う感覚を疑似体験できるよう。

依存症の恋人を支えていたはずの主人公ルーベンのほうがハンデを負い、彼女と仕事、これまでの人生を手放すことになるが…
聾唖者の施設で手話を学び、生き方を模索する中で変化も訪れる。
声ではなく振動を通しての子どもとの交流は、この状況でなければきっと得られないもので、ほっこりする。

聴力を失う、病に罹るなど、自分の意思に関わらず生活を変えねばならない状況に陥ることは誰にでもあると思う。
コロナ禍の現実もそうだし。
そこで抗うことも正しいかもしれないが、現状を受け入れて新たな道を選ぶのも人の強さだなと。
ルーベンの行動に少し後押しをもらえるようなラスト。
ぺん

ぺん