Ren

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~のRenのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

朝5時のコーヒーとドーナツ。すべり台を叩いて少年と振動を感じ合うひととき。主人公が今まで取りこぼしていた「静寂」のかけらを拾い集めていくことで、少しずつ変わっていく。ただやはり元の彼の人生、夢中でただ目の前の日々を生きていた頃に戻りたくなって…

RUBEN: 動き出す頃合いだったんだ 自分の人生を守るために。誰も俺の人生を守ってくれやしないんだ。ここにいて何が残る?だろ?時間だけが過ぎていく。俺がいなくなって誰が気にする?誰も気にしない。世の中なんて そういうもんだ。分かってる。ただ時間だけが流れていくんだ。

JOE: 君に聞くが 毎朝の課題でじっと座っているとき 感じることはあったか? 静寂(Stillness)の時間を。君は正しい。世界は動き続けていて残酷な場所にもなる。だが 私にとってはその静寂こそ 心の平穏を得られる場所だ。その場所は 決して君を見捨てない。

変わりかけていた自分、元の自分、おそらくどちらのルーベンも正しくて、どちらかしか選べないなんてなんて残酷な世界なんだろうと思ったけれど、ラストシーンで、自分も残酷な世界での居場所を見つけたような気がして穏やかな気持ちになれた。

毎日思いつきで紙に書き殴るというのは、実際に自分も留学していた際にやっていたが、その時間は誰にも邪魔されず自分と向き合うことができて人間的に大きく成長できたと思う。調べてみるとどうやら心理療法にもこうしたものがあるらしい。あの時間は今でも人生を通しての大切な財産だと思っている。
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