デニロ

安城家の舞踏會のデニロのレビュー・感想・評価

安城家の舞踏會(1947年製作の映画)
4.0
劇場からの出掛けに「こういう良い映画をかける映画館がないのよね。」と言った人がいた。確かに古い映画をかける映画館は激減したけれど、現在を切り取るようないい映画はある。客が入らないだけだ。宣伝が悪いのか・・・、満席になるけど映画を観た気分にならない作品はあるんだけれど。

本作はちょうど40年前に並木座で観た記録がある。音は割れているは雨が降っているは飛んでいるはで、傑作の誉れを感じることができなかった。物語に集中できずに観終えた覚えがある。

今回状態のいいフィルムで観ることが出来たんだが、40年前の記憶はフィルムの状態だけではなく人生の経験値や知識の多寡も多分にあったと思う。

それにしても森雅之の退廃的な色気はただならぬものがある。当時の年齢が三十代半ば。櫻井翔、綾野剛、斉藤工、藤原竜也、向井理がちょうどその年代のようだ。野心的な彼らにもあんな妖しい雰囲気をだせるような機会が来ればいいけれど。今の観客はそんなこと要求しないか。

没落貴族の話で思い出すのはヴィスコンティの『山猫』だがあり方はだいぶ違う。で、当時はこれで何を表現したかったんだろう。殿様の悲哀。新しい世界の到来。女の自立。もはやなんだかわかりません。
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