みおこし

安城家の舞踏會のみおこしのレビュー・感想・評価

安城家の舞踏會(1947年製作の映画)
3.4
第二次世界大戦を経て、華族制度が廃止されたために名門の誉れ高かった安城家も昔のような優雅な生活ができなくなる。家財や屋敷を全て手放す前の最後の行事として舞踏会を盛大に開催することになるが…。

久々の邦画!吉村公三郎監督、新藤兼人脚本、そして原節子主演という豪華な布陣。まさにこの映画が公開される直前に、明治時代から続いてきた華族制度が廃止となったというタイムリーさも相まって、本作に漂う戦後日本の悲壮感はリアリティに満ちています。国内外問わず、こういった王室や貴族の没落をテーマにした作品(『山猫』や『ラストエンペラー』とかもそう)で描かれる、「当たり前」の日常や身分が戦争を機に奪われてしまう恐怖は、現代の私たちにとって想像を絶する世界ながらもそれでも十分見ていて辛い…!時代に翻弄されるとはまさにこのこと。
そんな現実から逃避するかのように、豪華絢爛な舞踏会を開いて栄華の時代の余韻に浸る登場人物たち。当主の忠彦やその娘の敦子など、それぞれの思惑が入り乱れて、最後はそれぞれ号泣しながら自らの思いを爆発させあう姿が痛々しい…。舞踏会の華やかさと美しい音楽が逆に残酷に感じちゃいました。

古い映画はたいていセリフが聴き取りづらいんですが、本作は聞き取りやすくてびっくり!
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