わだげんた

あゝ、荒野 前篇のわだげんたのレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 前篇(2017年製作の映画)
3.9
寺山修司といえば『あしたのジョー』。
ジョーの連載時、力石が作品内で亡くなった時に実際に力石の葬儀をしたというエピソードが有名であるし、だからこそこの作品はジョーに影響を受けた寺山が書いた小説、ってことなんだと思っていたら、この小説の方がジョーよりも先に出版されてるんですね。

この作品、気になってはいたものの前後編合わせて計五時間という尺にビビッて劇場公開時は観逃がしてしまい、今回アマゾンプライムで配信されているのをみつけて鑑賞となりました。

ダブル主演の一人、ヤン・イクチュンは『息もできない』での強烈なイメージがあったんですが、この作品では朴訥とした床屋の兄ちゃん。人が良さそうでね。『息もできない』の時のイメージとは全然違いました。

そのヤン・イクチュン演じる建二と菅田将暉演じる少年院上がりのチンピラ・新次。

建二は理容師としてまじめに働いているものの給料はろくでなしの親父に取り上げられてしまう生活。そんな生活に嫌気がさし家を出る。
新次は少年院から出てきて、昔の仲間と合流するものの冷たい扱いを受ける。そんな時に知り合った女・芳子になけなしの金を獲られてしまい、途方に暮れている…。

そんな状況の建二と新次はふとしたことから知り合い、二人そろってボクシングを始めることに。

そして、ボクシングが二人の人生を大きく変えることになるのだが…。

ってのが前編。

もちろん前編だけでも2時間半の尺がある作品、その他にも様々な登場人物の様々なエピソードが絶妙に絡み合ってくる。

胡散臭いボクシングジムの会長、やたら厳しく言葉も汚い老トレーナー、ボクシングジムの経営を携わる男とその秘書、自殺サークルの長とサークル員の女…。エトセトラエトセトラ。

みんなキャラが濃くて、しかも役者さんたちがイキイキとそれらの役を演じていて、2時間半の長さが全く気になりませんでした。

前編観終わって、すぐ後編に突入。

これ劇場公開時は前編公開されて2週間後に後編公開だったみたいで。2週間待つのは辛いなぁ(笑)
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