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アリスまたは最後の家出のmuscleのレビュー・感想・評価

アリスまたは最後の家出(1977年製作の映画)
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レコードの音も不気味だし、歪んだ鏡と歪んだ世界、壁に立てかけたスーツケースが倒れる様を丁寧に撮っていたり、筋書きがより直線でシンプルであればあるほど面白いシャブロル。運転をしながら考える→事故るのパターン百回くらいみた。「たとえば死の世界というのは良いとか悪いとか、価値観を超越したものなんだ。今幸せとか今不幸とかそんなのがどうでも良くなるぐらい。そもそも「幸せ」の感覚もなくなるくらい」。どことなく、対独協力をしていた時代があっけなく終わって価値観が崩壊していくのにこだわる理由がわかった。死ぬことは消えることじゃなくて、直線の先で強烈な変化を導いてしまうこと、みたいな。
この時期のシャブロル4作(『アリス』、『ヴィオレット』、『馬』、『帽子屋』)こそが真の黄金時代だという説もあるらしい。
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