これは評価わかれる。
いわゆる毒親に反応してしまう人は作品もレビューも閲覧注意だよ…
元気なときに観てほしい。
まず、こういった猛毒親の虐待の過程をここまで丁寧に描く作品が少ないこと。
そして、役者の演技が素晴らしいこと。
で、このスコア。
日本じゃまずこういうテーマを扱いさえしないから。
でもラストで感動ポルノみたくなっちゃった。
実話らしいし、本人たちが幸せそうなら口は出せないけれども。
観る人が観たら、主人公の最後はDV被害者のそれ。
共依存で殴られても結局帰る、みたいな。
幸せそうだけどそれが恐ろしい。
現実にこんなうまいこといく被虐待児はめちゃくちゃ少ないと思う。
この人の場合は兄弟が3人もいたし、兄弟が親側につくこともなく理解し支え合えた。
だからそういう意味ではある意味〝恵まれている〟のかもしれないけど。
それでこの映画観て、「自分は恵まれているな」って思ったりするのも自由。
でも怖いのは
「やっぱり〝どんな親〟でも家族は家族ですよね!」
「やっぱり〝どんな親〟でも唯一無二ですよね!」
「感動しました!」
という感想も並んでいること。
感動した!ほっこりした!素敵な家族!
まじで言ってる?
実話だよ?他人の話じゃなくて自分の身に起きたらって想像した?
この家族だけじゃなくてこういう機能不全家庭は世の中たくさんあるんだよ?
あなたの友人とかご近所さんとか気づかないとこに意外と地獄を見ている人はいるよ?
観た人が自分に当てはめて前向きに捉えるのは自由だし、映画を映画として捉えられる人だけならいいのだけど、日本はただでさえ「どんな親にも愛情はある」と盲目的に思い込んだり、まともじゃない親の元で苦労した人にもそういう圧力を強要しがちだから。
少ないとは思いたいけど
「この映画の主人公もだけどさ!自分から歩み寄って努力してるじゃん?あなたもそうしなきゃ駄目だよ!だって家族なんだから!」
と言う人は残念ながら世の中に存在する。
こういう作品においての映画と現実との境界を曖昧に認識している人が、更に世の中の家族問題を綺麗事として捉えることを助長しかねない描き方はいかがなものかなと思う。
でもそのモヤモヤラストまでが繊細だから…
思うことあればそれぞれ考えるしかないやつなのか…
幸せに育った人が観たら「感動!やっぱり家族となら乗り越えられないことはない!」みないな思想に行き着きそうな危険性を孕んでいる…
作品としては観応えあるんだよな…途中までは…
『ショートターム』はこんなにモヤモヤしなかった。
難しいね。