視点は面白い。企業間での駆け引きや開発にまつわる盗作問題や脅迫など、過熱した資本主義社会の中では実際あってもおかしくない。宇宙エレベーターという、近未来的な題材もストーリーとして魅力だ。
ただ、何かパッとしない。その何かとは結局は構成に従い淡々と進むストーリーに登場人物の苦悩や感情があまりうまく表現されていなかったことではないだろうか。例えば分かりやす過ぎるライバル会社社長の陳腐な悪役ぶり。スパイの脅迫されて従うしかできないことへの葛藤の薄さ。裏切りに対する責任感の軽々しい転嫁。感動しきれない救出シーン。映像や表現力が違えば面白さも増したはずである。そこがなんとも残念だ。