ちな姉

禅と骨のちな姉のレビュー・感想・評価

禅と骨(2016年製作の映画)
3.5
2017/08/24、映画ランドさんで当たった、ユーロスペースでのシンポジウム付き試写会で鑑賞。

日系アメリカ人の禅僧、ヘンリ・ミトワの一代記。
ドキュメンタリーの中に、ドラマあり、アニメあり。
ドラマパート、ヘンリ役のウエンツ瑛士さんや母親役の余貴美子さんなど、キャストも豪華です。

日本にいれば父親がアメリカ人だからと特高警察につきまとわれ、アメリカに渡れば母親が日本人だからと強制収容所に入ることになるヘンリさん。
声高に戦争反対を叫んでいる映画ではないのですが、国と国が争う戦争というものによって、人がその人格や個性でなく属性でのみ判断されることの恐ろしさや愚かさが、確かに描かれています。

ヘンリさんが晩年『赤い靴』の映画製作に取り憑かれたようになったのがなぜなのか、わたしにはわかったようでわからないのですが、映画が最終的にかたちになったことは、嬉しく思いました。

しかしそれにしても、ヘンリさんと次女の静さんのキャラクターが強烈すぎます(笑)
ドラマパートの余さんも相当存在感がありますが、それをかき消すほどの個性的言動。
でも、言葉にしていることがすべて本心とも限らないし、本心のすべてを言葉にし尽くすということもないだろうし、だから、本当は心の中で二人がお互いを愛しく思っていてくれたらいいなぁというのは、ファザコンのわたしの願望ですね。

ドラマパートでヘンリさんのお兄さん役がチャド・マレーンさんなのですが、ウエンツ瑛士さんと会話すると日本語のカタコト具合が目立っちゃって、お兄さんも日本生まれ日本育ちだよね? とツッコミたくなったのは内緒です(笑)
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