禅と骨の作品情報・感想・評価

「禅と骨」に投稿された感想・評価

【映画の"一線"を超えたドキュメンタリー】

日系アメリカ人のお坊さん、ヘンリ・ミトワ氏の波乱に満ちた人生を描くドキュメンタリーなのですが、なにかと既存の枠にハマらないといいますか、むしろ壊すかのような他に類を見ない編集で作られているのが見所の作品でした。

波乱に満ちたと言っても、ミトワ氏が自ら波乱の中に飛び込んでいくような性格でしたので、それに振り回される家族のお話でもあるのかもしれません。

被写体自体が良い素材なのですが、やはり特筆すべきはその調理の仕方。

実際の写真や記録映像はもちろんのこと、アニメ、CG、再現ドラマなどあらゆる映し方を取り入れていることに加え、

普通映画の中では踏み込まない領域、隠すべきところまで撮って映しており、観客側としては情報量の多さと衝撃映像の多さで、頭の通信容量がパンクして速度制限がかかってくるレベルでした。(すいません、途中で転寝しました)

一人の人物の生と死の境界線を越えながら、映画という境界線まで超えてくる、なかなか骨太なドキュメンタリーでございました。
遠くからその人を眺めていると、ご機嫌でなかなかに出来る人物に思えても、その身近の者からするとただただ厄介なだけの人ってのがいるのだろう。この人もそうなのだろう。
しかし、それにしても、この人物のこれまでの生涯において見てきた事味わった事の半端なさも無視出来ぬ。
ねぎお

ねぎおの感想・評価

4.0
横浜生まれのヘレン・ミトワさんの生き様ドキュメンタリー。
ドキュメンタリー映画「ヨコハマメリー」の中村高寛監督です。

プロデューサーに林海象さん、協力Pに利重剛さんの名前や、ナレーターが仲村トオルさん。再現ドラマパートにヘレン・ミトワ役でウェンツ瑛士さん、余貴美子さん・・とドキュメンタリーとしては相当豪華です(失礼!)。
『赤い靴』の話から入り、仏門に入ったヘレンさんのインタビューが第一章。
実はのっけからだいぶ興奮しました!
何がそんなに良かったかって編集です。オーソドックスなドキュメンタリーって是枝さんもかつてそうだったようにじーーっくり構えて対象者の何がしかを見逃さないようなカメラだし、表情や体の反応もしかと見せつける編集をするもんだと思っていました。アカデミー賞2017のドキュメンタリー「ICARUS」だってPOPでしたがそこまでカット数多くないと思います。

寝かせてたまるかという意図なんでしょうか、木魚や様々なリズムに合わせてポンポンと印象的な絵をつなぐこと数回。しゃべりは短く切らないので、ある意味しゃべりのミュージックビデオみたいなもの?
例えば今回寺の中で撮影していますが、仏教徒でなくとも、行われている動きの一連をキリ良く見せようとするのはごく普通の感覚だと思うのですね。そこを中村監督は人間に限らず何の知識も持たない外国人のような眼で事物を切り取っているように感じました。美的感覚とインスピレーションのみで絵を選び、それを極めて断片的に見せて印象を構築していきます。
そこにフッとアニメーションがインサートされたりするので、とにかく視覚的に楽しめます。

ドラマパートがまたしっかりしたドラマとして撮影されていて驚きました。ウェンツ氏がしばらく日本を離れてしまうそうで、寂しい限り。バラエティばかりじゃなくもっと役者やればいいのに。

そしてこの映画は後半、大爆発します。


急に我が一族の集まりを思い出させてくれました。まだお爺さんが健在だった頃の話。会って穏やかなのは少しだけ。あとはどうしてそんなに悪く取るの?って感じで喧嘩になって引っ込んで押し黙る。最後は奥さんたちだけってパターンでした。

完全な・・いえ50点もつかないかな、そんな人ばかりな人間界。思いを伝えきらないまま関係はこじれてしまうこともしばしば。誰も知らない重荷を背負い、すがってみたり突き放してしまったり・・。
前半部のヘンリの経歴は若干のだるさはあったものの、そこから見える戦前戦時中の日米両国における日系アメリカ人の差別が非常に興味深い。特にヘンリの場合、日本ではスパイ容疑をかけられ、アメリカでは隔離されるなど、世界に居場所がなかったというのは、想像するだけでも多くの困難が伴ったことだろうと心痛する。後半は、「赤い靴」の製作過程でのあれこれから始まり、そして、衝撃的だったのが、ヘンリが途中で亡くなり、納棺から告別式、出棺、遺骨、納骨までを撮影していること。あたかも普通に自然に、空気に溶け込んでいるように撮影されている。果たして故人への尊厳は保たれているのだろうか、家族との話はついているのだろうかと思っていたが、上映後の中村監督のお話では、ヘンリ自身が望んだことらしく、作品の一部として残ることを了承していたらしい。

気になったのが、前作「ヨコハマメリー」との演出の違い。作品ごとに作風を変えることは監督ご本人も仰っていたが、何というか、あのテロップの入れ方、カットの多さ、前作から今作公開までの10年近い間に受けたであろう、テレビの影響を考えざるを得ない。それとも禅のイメージと対を成すためにポップでスタイリッシュに仕上げたのだろうか。
jojo

jojoの感想・評価

4.2
先日下関にある映画館「シネマクロール」にある映画を観に行った。

作品のタイトルは「禅と骨」。
なにやら興味がガンガン湧いてくるタイトルだ。

今回は予告編などを一切観ておらず、事前の情報はチラシの画像のみ。

それを見ると監督は「ヨコハマメリー」中村高寛監督。出演者はウエンツ瑛士や永瀬正敏、そしてプロデューサーはあの「私立探偵濱マイクシリーズ」の林海象監督ではないか!さらにチラシのビジュアルが強烈で、これだけ観ると「謎の怪僧と戦う痛快歴史伝奇アクションムービー」に違いないと勝手に想像してしまった。

そして実際に鑑賞したら、あながち間違いではなかったことに驚いた。

今回の映画は京都嵐山・天龍寺の禅僧で日系アメリカ人のヘンリ・ミトワ氏を取材したドキュメンタリー映画。その中で時折ウエンツ瑛士によるドラマパートや、さらにアニメパートまで出てくる実に斬新な構成になっている。

でもこの映画の面白さはその構成だけではない。なんといっても主人公であるミトワさんの超強烈なキャラと壮絶な人生、そしてその姿をひたすら追い続け、なんと撮影開始から8年掛けて完成させた中村監督の執念。それがこの映画の見所である。

その凄さはぜひ実際に作品を観て感じてほしい。

ドキュメンタリー映画好きはもちろん、ドキュメンタリーを日頃観ない方にぜひ観て欲しい超オススメの映画です!
リズム、音、映像の美しさに病みつきになれる
127分がすぐに終わってしまうくらい面白い。
その反比例に人間くさい映画。
wada

wadaの感想・評価

-
面白かった。監督の前作『ヨコハマメリー』が好きだったので、こちらも気になって観た。ちょっと長いかなと思ったけど最後まで楽しめた。
mitsukuni

mitsukuniの感想・評価

4.2
青い目の禅僧ヘンリ・ミトワさん
この方の人生は波乱万丈
大胆不敵で自由奔放
愉快痛快で失望落胆
腹が立って笑えて泣けてイライラするし
脱帽するし
とんでもない野郎だけど愛おしい
そんなヘンリ・ミトワさんに
中村監督が8年もの歳月をかけて
密着したドキュメンタリーフィルム
むちゃくちゃ見応えあります
moco67

moco67の感想・評価

3.9
ヘンリミトワ氏の人生の軌跡。彼自身にフォーカスされた話は、当時の時代背景もわかりドキュメントとして見応えもあった。

ヘンリミトワ氏はもちろん、また彼に惹かれた監督や周囲の人々がみなとても魅力的な人物だったけれど、ミトワ氏の家族は大変だっただろうなという思いやご苦労が映像の隙間からも伝わってきた。
主題が少し取っ散らかった。ほぼドキュメンタリーなので、仕方がないが。
>|