禅と骨の作品情報・感想・評価

禅と骨2016年製作の映画)

上映日:2017年09月02日

製作国:

上映時間:127分

3.8

あらすじ

京都嵐山・天龍寺。世界遺産にも登録されているこの名刹に、一風変わった禅僧がいた。名はヘンリ・ミトワ。1918年、横浜でアメリカ人の父と新橋の芸者だった母の間に生まれた日系アメリカ人である。1940年、単身渡米。戦時中は敵性外国人として、日系人強制収容所で過ごした。戦後、ロサンゼルスで幸せな家庭を築き、1961年、帰国。時代の波に翻弄されながらも、日本文化をこよなく愛し、茶道・陶芸・文筆にも優れた…

京都嵐山・天龍寺。世界遺産にも登録されているこの名刹に、一風変わった禅僧がいた。名はヘンリ・ミトワ。1918年、横浜でアメリカ人の父と新橋の芸者だった母の間に生まれた日系アメリカ人である。1940年、単身渡米。戦時中は敵性外国人として、日系人強制収容所で過ごした。戦後、ロサンゼルスで幸せな家庭を築き、1961年、帰国。時代の波に翻弄されながらも、日本文化をこよなく愛し、茶道・陶芸・文筆にも優れた才能を発揮したヘンリは、古都の多彩な文化人や財界人に囲まれ、悠々自適の晩年を楽しむ…はずだった。「“赤い靴”をモチーフにした映画を作りたい!」、80歳を目前に突如、追い求めた夢によって、家族や周辺の人々を巻き込み、彼が築き上げてきた“青い目の文化人”という地位から大きく逸脱していく…。

「禅と骨」に投稿された感想・評価

TsutomuZ

TsutomuZの感想・評価

3.8
Mixed な彼の伝記映画なのでインタビューに再現ドラマそしてリアリティーショーさらにホームムービーまでを駆使しても、解脱できない四苦八苦。
i

iの感想・評価

-
禅僧としてではなく“人”ヘンリミトワの足跡を辿る話。静寂ともほど遠いロックな人。プレイボーイでLoveが好き。母から受けた沢山の愛情。戦時中は2つの母国の狭間で打ちひしがれながらも希望、願望は捨てない。留まることをせずまた何処かへ進み続ける。引くぐらい口が悪いし消して性格が良いわけでもない。でも愛らしい人。

自分が築き上げてきた家族や母と父が築き上げた家族。確執や後悔は誰でもあって、恨みたいくらいの腹立たしさも 許したくないのに無条件で愛してしまっていて 家系図にもお父さんの愛人まで入れる だって父が愛した人だからって… 母への愛情と感謝は特に凄かった。ほんと骨まで愛している感じ
人生の小説があるとするならば、ページの内容の濃さも厚さも物凄い
何気ないシーンや言葉にいろんな意味が込められている様な気がして、家族の風景や会話も...それぞれの心情を探ってしまう

エンディングに横山剣さんの歌声が渋くて良かった

人は見た目だけでは分からない 想像も出来ないほどの生き方をしてる
とっ散らかった人生をぎゅっとまるめた感じ。個性の強い家族が強い絆で波乱万丈な荒波を乗り越えるのかと思ってたらふつうに喧嘩してるし、そんなに仲がよい訳でもないし、人が生きてるようすは興味深いでした。
ハモン

ハモンの感想・評価

4.1
ヘンリ・ミトワという人にこの映画で出逢って別れがきた。2時間で、たった2時間でそんな気持ちになって、お別れの時はさみしい気持ちでいっぱいになった。
さようなら、ありがとう、ヘンリさん。そういう感想。
しーちゃんもスゴく…スゴく魅力的な人だったなぁ…奥さんも。他の兄弟もみんなみんなそれぞれがそれぞれにスゴく……生きてた。
うん…。生きてた。
それを……それを覗かせてもらって…すみません…ありがとう。
・史上初の予算ゼロ映画
(監督談)
・母と自分のつながりを描きたかったミトワとその家族の物語
・禅と生涯向き合いながらも、家族をひっぱたいてしまうミトワの愛おしさ
・松永さんがいちばんミトワの想いに寄り添ってるけど、何者だよ?
・フリマでミトワ作の陶器等を売って映画の予算を集めようとする発想が、すごい。
(斬新なプロモーションの手法ともいえるかも)
・静さんのクセの強さがすーごい。
・予算ゼロの映画なのに、静さんと仲良くなるために、監督が呑みで40000おごるという修行のような制作(監督談)
・戦争をした国同士を祖国にもつ混血の人たちはどんな気持ちなんだろう。
面白かったー。
テンポが良かった。大量の素材だっただろう、それを一瞬だけ使って後を落とすなんてすごい覚悟、潔いと思っていたけど、ヘンリミトワの人生がてんこもりすぎて、それぐらいしないときっと収まらない、むしろそれぞれが一瞬でも充分、濃い。
「敵国人」が戦争中に日本やアメリカでどういう状況にあったかにも驚いたし、ヘンリの母やヘンリの子含めて家族が印象に残った。エネルギー持っていかれたけれど見に行って良かった。
ドキュメンタリーを作って、壊して、作って壊して、直して、新しいのを貼って、なんどもなんども、八年もの時間をかけて、あらゆるジャンルを駆使して、作られた作品。それはヘンリミトワの人生のようで、禅に集まるいくつもの煩悩たちで、全てを肯定して否定する。粋人か。変人か。
これは新しいジャンルの映画だ。さあ、あなたもこの映画のエネルギーを浴びよ!

このレビューはネタバレを含みます

最期まで主人公を共犯者に仕立て上げられなかった。共犯者になってもらえなかった。だから後味が悪い。死に関しても、過剰な編集に関しても。

ここまで関わった以上、対象にのめり込むしか道はないのだろうが、労作だけに観ていて辛かった。

別にヘンリさんが、ヒーローでなくたって良いじゃないかと思う。ヒーローに仕立てなくても良いじゃないかと思う。

『ゆきゆきて神軍』の奥崎との共犯性の違いを思う。

前作『ヨコハマメリー』もそうだったけど、奇人(と見られる人)を取り上げ、彼らの産まれ育った時代背景を描き、その心様に普遍性をみつけ、共感を呼び出し、結局のところ彼らも私たちと変わらない"人間"だ、という結論を導く。

そういう手法、ー特殊性から一般性を導くーは、フィクションドキュメンタリー問わず王道だと思うのだけど、『メリー』がうまくいって『禅と骨』がうまくいかなかったのは、やっぱり本人が出てきてしまい、神聖が削がれたからなのかな。

それともドラマパートや映像ギミックが、ヘンリさんの神聖を高めることに作用しなかったからなのかな。

中後半まで続く、単調とも思えるリズミカルな編集の意図が最後まで見えなかった。「自分のイメージをフィクションで再現したい」というヘンリさんの遺志と呼応していくのかと期待したがそうでもなかった。

しーちゃんはじめ、京子さんたち家族まで、キャラクタ付与して、あんなに戯画的に描くのもいけ好かなかった。「特殊性から一般性」ラストの盛り上がりのためにさ、人の変なとこだけ強調するのはやだったな。別に彼女らは映画のために存在してるわけじゃないのに。

音楽はよかったなぁ。
最後の観音様見てたら、ヘンリさんの妻、サチコさんの額のほくろが白毫に思えてきた。
アメリカ人の父と日本人で芸者の母の間に生まれ、やがて禅僧となったヘンリー・ミトワ氏の半生を描いたドキュメンタリー。
前半、ハーフに生まれ、趣味人でありながら俗世の欲からは離れた禅僧。そんな少し変わったお坊さんの緩やかな話かと思っていたら、どんどん雲行きが怪しくなってくる。
母への後悔と愛憎が、娘から見る父への思いにオーバーラップし、自らに迫り来る死へのやりきれない想いが怒りとなってたたみかける。禅僧となった後も、映画、死、母、俗世への想いは断ち切れないどころか……。ガチンコのドキュメンタリーならではの展開にぐっときた。
ポレポレ東中野にて。

ドキュメンタリーとドラマを織り混ぜた手法で撮られている。あ、最後はおまけアニメも。

ヘンリ・ミトワという実在の禅僧の人生がテーマ。ドイツ系アメリカ人の父と新橋芸者の母との間に生まれ、1940年に父のいるアメリカにわたり、母の死後、日本に「帰国」した。いろいろあって禅僧なのだが、そのあたりは、アメリカで裏千家の世話をした縁で……とかナンだとかで、細かいことはよくわからない。

面白いのは、冒頭、彼を指して「風流人」だとかナンだとか、まあ、京都の関係者が誉めちぎる(ああいう人たちのカメラの前の言葉は、かえってウソ臭かった)。裏千家のトップと「禅」を語るシーンなどは、わざとやったのかと思うくらいウソ臭い。

そんな周囲の評価とは遠くかけ離れた「彼」を、カメラはどんどんむき出しにし、写し取っていく。特に、アメリカで生んで、勝手に日本につれていった子どもたちとの絡みでは、彼としては、風流とはほど遠い、お見苦しい姿ばかりで、寝室に引っ込んでいった(笑)

どんな家族であろうが、風流人だったら凛としているのかと思えば、まあ、人間はそんなもんだよね、という感じ。みっともないと気づいたヘンリも、どんどん機嫌が悪くなる。後の祭。人間臭さを素直に出せることこそ、到達した境地なのかもしれない(深読み?)。

そのあたりのリアルが、やっぱりドキュメンタリーはいいなと思わせる。尺が長くなるほど、ヘンリが撮りたかったという童謡「赤い靴」のエピソードが後付けになっていき、付け足しに見えてくる。それだけ、彼の人生という素材そのもののほうが面白い。

そう考えると、今作は、見つけてきた素材は面白いが、語るべき内容が既出のものが多く、新味を出すために飾る必要があり、それがドラマパートだったり、京都の寺の関係者たちのヨイショだったりした、ということか。これが書籍だったら、3分の1くらい読んだらバレるけど。

いちばん冷静だったのは作り手ではなく、ヘンリの家族だった、という落ち。

2012年にヘンリは逝去。