あでゆ

エルネストのあでゆのレビュー・感想・評価

エルネスト(2017年製作の映画)
1.4
日系二世として生まれ、医者になることを夢見るフレディ前村。キューバのハバナ大学に留学した彼だったが、キューバ危機に直面する。混乱の中でチェ・ゲバラと出会ったフレディは、その理念やカリスマ性に感銘を受ける。やがてゲバラの部隊に加入した彼は、ゲバラのファーストネームであるエルネストを戦士名として本人から授けられる。そして、ボリビアの軍事政権を倒す戦いに身を投じる。

フィクションものは割と苦手で、仕方ない話だが全体的に山場みたいなものは薄いので、観ているぶんには割と辛い。
ただ全体を通してみれば、マエムラがゲバラのようになりたいといった発言を伏線として、ゲバラにエルネストという名前を授けられるシーンは本作の白眉。
ただ劇中を通しても数度しかゲバラと関わりがないのは、事実だからこそ少し寂しい。ゲバラは彼のこと覚えていなかったし。

そもそも、日本人が活躍したみたいなウリだけど、蓋を開けてみると日系人が革命軍に参加していて、特に活躍もなく処刑されたという話なので、少し美談として描くには足りない気がした。これは事実が悪いのではなく、「もう一人のゲバラ」などと大層なサブタイトルを冠したメインビジュアルに期待感を煽られたからだ。それに日本の誇り感満載だけど、日本人ではないだろう、それは失礼じゃないか。彼はあくまで祖国を守っていたのに。

あと展開も結構有耶無耶にされている気がして、例えば彼が学校をやめるシーンでも、学園長に反対されていたのに急に引用一つで退学を受理されたりと、なんだかなあと納得感が薄い。
ラストで献花されるシーンなんかはどうみても演出だろという気がしてしまったし。

ただオダギリ・ジョーは本当に熱演をしていた。スペイン語も全く違和感なかったし、彼以外にこの役はあり得なかったのではないだろうかという気がしてくる。
阪本順治監督も『団地』の後にこれを手がけたというのは、とてもパワフルだなと感じた。
あと「ベンセレーモス」とか「オンブレヌエボ」とかその辺のワードはちょっとテンションが上がった。
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