あでゆ

スプリットのあでゆのレビュー・感想・評価

スプリット(2017年製作の映画)
3.2
高校生のケイシーは、クラスメートのクレアの誕生パーティーに招待される。帰りは、彼女とクレアの親友マルシアをクレアが車で送ってくれるが、途中で見ず知らずの男性が車に乗り込んでくる。彼に拉致された三人は、密室で目を覚ます。

『Mr.ガラス』のために再見。これほどまでに一人の俳優力に頼り切った映画もない気がする。マジメな男やオカマっぽい役だけじゃなく、ちょっとスピリチュアルな女とか、アホそうな幼児まで演じ分けててマジで天才。
内容はまあ正直面白いかと言われると続きが気になるほどのもんでもないので、一人の演技だけでよくここまで間をもたせられるなと。
ただ23の人格をウリにしているのはよくわからない、そもそもそんなに設定で水増しする必要はあったのだろうか。

ビーストとケイシーの間に共通点があったからこそ…みたいなストーリーはそれはそれで悪くはないのだけど、そこはM・ナイト・シャマラン恐るべしで、しっかりと訳のわからない方向に進むのはさすがだなと。
まあ少女の「穢れ」がどうとかいう儀式のための設定は割とこじつけくさく、そもそも加害者ケビンと被害者ケイシーの経験がイコールでないのと、虐待されていることがピュアの証明という理屈はよくわからなかった。まあキャラクター紹介のような映画なので、マジメに取り合うだけ損か。

オープニングの淡々と誘拐が始まる硬質なシーンは実はかなり怖く撮れているし、よく出来てると思う。その後の文字通りスプリットされて出てくるタイトルロールもとてもオシャレで好み。例えるなら無機質さが『ファニーボーイUSA』を少し感じさせる。
加えて、最後の最後で”あのBGM”がかかるところは初見時に鳥肌が立った。
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