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関ヶ原のGOのレビュー・感想・評価

関ヶ原(2017年製作の映画)
3.8
『葵徳川三代』から17年。関ヶ原の戦いと言えば、多くの人が思い浮かべる共通の画がその映像のはずで、その後の大河ドラマで扱われる関ヶ原の映像では当たり前のように使い回されている。
当然、この作品が最も比較される対象が『葵徳川三代』だと思うし、個人的な思いで言えばあれから17年も経ったのだからそろそろ新しい何かが欲しいし、超えられるものなら超えて欲しいと願っていた。

結果…期待値を超えることはなかった。

まず、致命的なのが西軍の実質的総大将の宇喜多中納言秀家の描き方が薄過ぎること。西軍最大兵力の壮大さが伝わってこないし。鳥瞰的な映像を作っても良かったのでは。三成が主人公の作品とはいえ、西軍を主導していたのは宇喜多秀家公であると声を大にして言いたい。

大軍の小早川勢を3度も撃退した大谷刑部勢の精強さが映像からは一切感じられず。(『葵徳川三代』ではかなり良く描かれていた。)秀吉に100万の軍勢を預けたいとまで言わしめた武将の扱いがこれでは不満。

島津勢の突撃が全てカット…これはひど過ぎる。

主力の小西勢は映っていたかどうかさえ定かではない。

石田勢と衝突したのは黒田勢だけではなくて細川忠興勢や加藤嘉明勢もいたはずなんだが…いた?

吉川広家とか、脇坂安治などのキーマンになった人はもう少しきちんと出して良かったんじゃないのか。

松山ケンイチの直江兼続は良かったけど、あのシーン必要だったのか?宇喜多秀家や小西行長を出すシーンを短縮したり、省いてまでしてやる必要があったのか?

とまあ、文句は挙げたらきりが無いので次に良かった点。

大谷刑部のハンセン病ビジュアルはNHKではできないレベルに仕上がっていた。

『葵徳川三代』の関ヶ原合戦シーンは野原か牧場で撮ったような映像だったが、この作品では当時の関ヶ原のように草が生い茂る山間の様子がリアルでいい。

島左近親子がこれほどまでにクローズアップされた作品は過去にない。左近が仕官するところから観れるのは意外だった。平岳大さんの演技が素晴らしい。

北政所や淀様が眉を剃っているリアルさ、時代考証も好感。

小早川秀秋の意思としては西軍に味方しようとした、という設定はおもしろい。

島津義弘が『葵徳川三代』の俳優と声も顔も似てる、いやほぼ同じだろと思っていたらどちらとも麿赤兒さんであった!!!

西岡徳馬の前田利家カッコいい!

そして、有村架純が可愛過ぎる。
あれは正室がいる三成でも恋に落ちてしまうのは仕方がない。


総評
日本の歴史を大きく変えたこの壮絶な戦いをわずか149分で表現しようとすることに無理があったのかもしれない。倍の時間にして前編後編でも良かったとおもう。そうすると、前編に合戦シーンがなくなるという話になると思うが、伏見城や田辺城、岐阜城の攻防戦だって描けたはず。
歴史物、特に戦国時代の映画は期待し過ぎて失望するパターンばかり。このループから抜け出させてくれるような濃い歴史を表現してくれる作品がいつか観たい。


2017.9.24 再視聴
改めて、やっぱり雑な作りだなと思った。
関ヶ原の映画なのに戦闘シーンがイマイチってのは致命的。
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