森崎

関ヶ原の森崎のレビュー・感想・評価

関ヶ原(2017年製作の映画)
3.5
慶長5年9月14日 関ヶ原の戦いの前日―

と冒頭に映し出されたテロップにん?え、今日?今日やないかラッキー!(正確には西暦1600年10月21日らしい)となるくらいに歴史にはとんと明るくないもんで、そこだけ。一応選択科目は日本史、戦国鍋TVに親しみ戦国BASARAもちょろっとプレイしたにしてはペラい知識。そして個人的常時開催中の「北村有起哉出演作で時代劇を観よう!」枠ってのもあって少し見方が違うかもです。原作未読。
ざっくりとした感想でいうと、好き・嫌い・面白い云々放り投げて「凄い!」

時はまた少し遡り、事が起こるは豊臣秀吉の甥であり謀反を企てたと疑いをかけられ自害に追い込まれた秀次の一族の処刑の場面。大河ドラマ「江」ではその秀次を演じていたんだよね有起哉さん、なんか思い出しちゃうワ…とかふへへと思っていたらばそこから2時間ちょっと、天下分け目の決戦に向け策略や正義や苦悩渦巻く怒涛の展開が待っていた。
笑止、とか言うように現代では馴染みのない言葉も多く、人名や戦略がまくし立てられるようにポンポンと飛び出す台詞はなかなか聞き取りづらい。けれどそれをカバーできるだけの目や所作や画がそこにあるからか不思議と難しさや疎外感が無かった。なにより嬉しい驚きだったのが滝藤賢一の秀吉とキムラ緑子の北政所が操る尾張言葉。名古屋弁って基本敬語だと顔を出さないしイントネーションと崩しとがごちゃごちゃで活字にしづらいんですよ。だから耳で覚えたんだろうなあ、誰かに紹介するときに『いっぺん聞いてみやあ、今でもまー馴染みのある言葉だでどら親近感わく。』と言いたいくらい様になっていてあのとき私はきっとスクリーンを称賛の眼差しで見つめていたと思う。むしろ親近感わきすぎるでかんわ!(笑)と思ったら滝藤さん名古屋の人だった!知らんかった!
でも、本当に芸達者。とにかくこれでもかと芸達者な方ばかり。役所広司の家康も岡田准一の三成も平岳大の島左近も良いのは勿論、女性陣の存在感が自然で凛々しく格好良い。正直色恋が入ると拒否反応が出てしまうことが多くて、初芽と三成のエピソードも好きではないし三成も甘いなあ馬鹿だなあと思ったりもしたけどそれぞれが良い塩梅でした。淀殿を演じた和田菜々の威圧的にも小物にもどちらにも見える目力好き。
大谷刑部はエンドクレジット見るまで加藤雅也が演じてると思っててごめんなさい大場泰正ですね覚えます…。「バサラの大谷吉継って結構忠実なのか!?」って思ってた。


ところで、彦根城での関ヶ原展では絵コンテや衣装、劇中で使われるボウガンなどの武器や大谷刑部が使用した駒をはじめとした小道具が見れたんだけど、見つけると結構嬉しい。当時と比べて身長も高く体つきも違う現代では実際の甲冑は着れないからボール紙を加工して作った甲冑を使用するんだそうな。その甲冑に身を包み頭には兜、何万もの兵が正義や仕えるものや天下のために死を恐れず戦ったあの戦。「戦」というと決死の覚悟で挑む姿や教科書で数行でしか語られない行いにどこか恐怖が薄れてしまう違和感があるけれど、何もない原っぱに響く鉄砲の音や地を這うような無数の兵の叫び、雨でしか洗い流せない血の跡を含め沢山の最期を映したシーンがとても印象深かった。

運命も生と死も紙一重。策に生きるか義を貫くか、今この世がこのような姿であることは奇跡みたいだと改めて思う。
あと関ヶ原ウォーランド行きたい。
森崎

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