すーさん

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だのすーさんのレビュー・感想・評価

4.5
2018-15(4)
最果タヒの詩集から生まれた、リアルタイムの東京ストーリー。震災後、五輪前の今だからこそ、この映画は作られて受け入れられたのだと思うし、その魅力は何倍にも増して観客に迫ってくる。そんな同時代の臨場感があるように思う。

「何か悪いことが起きる気がする」「朝までにニュース速報が流れる気がする」…そんな不安を抱えながら、日々生きている。すごくよくわかる。テロやミサイルがすぐそばにある今の時代、地震や津波や火山、放射能がいつ襲ってくるやら分からないこの時代。「スマホですぐ調べられるのに」、分からないことが多すぎるこの時代。
そんな時代を生きる私たちにとって、この作品が静かに寄り添うように教えてくれるのは、「生きる」ということへの気持ち、とか、気持ちの持ちようとか、だと思う。
あー、毎日こんなだけど、頑張って生きようって思う。死ぬまで生きるしかないよねって思う。

僕は煙草を吸わないけど、「生きてる」って灯りを、タバコの灯じゃなくても、どうにか灯していきたいなって、思った。
その光は、誰もが気にしないようでいて、誰かにとってはその光は大事な光かもしれない。夜に明滅しながら浮かぶ、ビルの灯りのように。それは地上にいる私たちにとって、なんら関係のない灯りかもしれないけど、パイロットからすれば重要な意味をもつ。

他人だらけの東京という街。そこで歌うストリートミュージシャン。あるいは、日雇い派遣の労働者。多くの人が無視をするかもしれない彼らも、生きているわけです。恋をして、本を読んで、家族を思い、生活している。そこには日本人も、外国人も混じりあって生活している。

詩集を映画にするって、すごいね。
すーさん

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