BOB

一晩中のBOBのレビュー・感想・評価

一晩中(1982年製作の映画)
3.4
ブリュッセルのとある一晩の間に、数々の男女の出会いと別れを綴った、シャンタル・アケルマン監督の群像劇。

"L'amore perdonera"♪🫂

アケルマン監督スタイルの詩的でメロドラマティックな群像劇。一晩の間に繰り広げられる数々の出会いと別れのワンシーンを切り取り、それらを断片的に繋ぎ合わせたような作品。

これはちょっと合わず。官能的で情熱的な愛のムードと、静寂と深い青に支配された心地良い空間は味わえたが、誰が誰だか最後まで良く分からず、ストーリーが理解できなかった。

音を効果的に使ったラストシーンが印象深い。"L'amore perdonera"♪が、抱き合って踊る2人の愛の空間を演出するが、突然鳴り響いた電話の呼び鈴に遮られ、無情にも変わらぬ日常へと引き戻される。

巧みなライティングによる、光と影、青の濃淡が効いた画作り。固定アングル&長回しによる撮影と、自然音中心の音響がもたらすリアリズム。静寂の夜と喧騒の朝(電話の呼び鈴、自動車のクラクション)の対比。夜から朝に変わった瞬間の映像的快感。

石畳の路をコツコツと叩くヒールの音が、癖になってくる。

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