メタ壱

花に嵐のメタ壱のレビュー・感想・評価

花に嵐(2015年製作の映画)
3.8
大学に入学し流されるまま映画研究会に入会した“脂”は、部のカメラを借り2週間の間私生活の撮影を始める。
脂は特に撮りたいものなどなかったが、会で見かけた素朴な女の子・花と、才能を持ちながらも映画を撮れなくなった古谷先輩に興味を持ちはじめる…というモキュメンタリー作品。

監督の名前を見て、その変わった名前から何かの作品で見たなぁと思っていたけれど、作品を見始めて、兼任している主人公の姿と作風とテーマから『聖なるもの』の人だ!ってピンときました。

それほど岩切監督の作品には一貫した執念すら感じるテーマと感性があります。

映画を撮るとはどういう事か?

それは一般論としてではなく岩切監督にとってのそれで、でも自分にとって映画を撮るってのはこういう事だよ!っていう意思表明を感じます。

やり方が解るからやるんじゃない、やりたいからやるんだ。

地味で大人しそうな監督の風貌と、決して派手ではない作品の中にとんでもない熱量を感じるのはその奥にある監督のそういった意志が込められているからなのでしょう。

そこに自分の中にある様々な思いを込める。
良い事も悪い事も、鬱屈した気持ちも、拗らせた思いも、なれなかった自分もなりたい自分も、これこそが自分にとっての最大の自己表現とその方法であり、他者に伝えたい、知って欲しい事なのだと言わんばかりに。

特に監督は女性に対する抑圧した思いがあるんじゃないかと思っていて、だからこそ作品に登場する女性は妙に生々しく、リアルで、魅力的なんじゃないかと勝手に思っています。

主人公を蔑ろにする会の女の子たちと、それとは正反対な属性の花。
そのどちらもが存在感を放っていて、それはきっと監督から見えていた現実であり、望んでいた世界なんじゃないでしょうか。

それを反芻し、分解し、虚構という形を通して本当の自分を再構築する。

本作はモキュメンタリー作品ですが、映画を撮るという行為そのものは岩切監督にとってドキュメンタリーなのだと思います。

と、好き勝手に語ってしまいましたが、違っていたら監督ごめんなさい(笑)
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