モウドクウサギ

ドリームのモウドクウサギのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
3.5
ハイエンド級のスーパーウーマンたちの活躍劇。原題「Hidden Figures」が示す通り、スポットライトが当たらなかった縁の下の力持ちを取り上げる。当時は人種差別がまだ色濃く、かつアメリカですら女性の社会進出の障壁は高かった。今の社会でも、真に才能がある人材ですら、くだらないしがらみやお偉方の声ひとつで彼らの人生が空費することはままあろう。今作は黒人女性3人が主人公で、同じNASAの旗印の下、仕事の獲得と差別に立ち向かう。時代性にマッチした題材、また、日本国内においては国から研究職が冷遇されていると言った声も聞かれ、関心の高い話題性も孕む。天才数学者モノでは、イミテーション・ゲームを彷彿とさせるが、大戦中の話と、宇宙開発では明るさは雲泥の差で、今作の方が圧倒的に大衆向けだ。よって、万人にオススメできるが、主人公らが天才として描かれ過ぎ、逆贔屓的に周囲の白人男性らがただのバカに見えてしまうのは映画構造上、仕方なかろう。もう少し、チームの団結に話を中立にしても良かったのではとも思うが、極めて些細なことかもしれない。加えて、あまりに美談すぎる、主人公らが凄すぎて凡人には理解が及ばないなどもあるが、仕事は与えられるものではなく、自ら考え・学び獲得していくものといった、忘れがちなごく当たり前の事にも気付かされる。