ハニートラップを仕掛ける女スパイの映画、という前情報から美人とエログロ、のイメージに釣られて。
結果、いい意味で裏切られた。
最後まで、というか話が進むにつれ結末が読めなくなった。
ボリショイのプリマドンナの座を追われた主人公。
彼女が復讐を果たす場面で、怒りと絶望、そして秘められた凶暴性と芯の強さが覗く。
"スパロー"養成所でのくだりが、
初めは服を脱ぐことに嫌悪感を示すものの、訓練が進むにつれ裸体を晒すことも躊躇しなくなる。
けして露出に抵抗がなくなった訳ではない。
不快感に慣れろ、という指示通り心をコントロールし続けている。
その頃から主人公の本当の感情がわからなくなってくる。
どちら側につくのか、恋愛感情は本物なのか…
拷問や暴力の描写、死闘のシーンなど鬼気迫るものがあります。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
映画館で膝を抱えて冷や汗をかきながら観ていたのは私です。
作中で特に印象に残ったのは、主人公が顔の痣をコンシーラーで隠しては、完璧な美しさで戦場に戻っていく姿。
痣は消えるけど、消えない心の傷を隠し続けて生きていこうとする彼女の強さが痛々しく悲しく、美しい。
余談ですが、エンドロールを眺めていたら、"バレエ界の異端児"、セルゲイ・ポルーニンの名前も。
やはり本人だったのか。
-----
レッド・スパロー
主演ジェニファー・ローレンス
監督: フランシス・ローレンス
脚本: ジャスティン・ヘイス
原作: ジェイソン・マシューズ
配給: 20世紀フォックス
-----