がちゃん

ウエストワールドのがちゃんのレビュー・感想・評価

ウエストワールド(1973年製作の映画)
3.6
科学で完璧に制御されているはずのアトラクションが何かのきっかけで制御が効かなくなって、ゲストがパニックに陥るという設定は、後の自身の原作による『ジュラシック・パーク』(1990)などと同様で、マイケル・クライトンお得意の設定のようです。

この作品で描かれるアトラクションは、現在のバーチャルリアリティーが発展したような世界。

パーク(あえてそう呼ぶことにする)の中にいる人間がアンドロイドと全く見分けがつかないところが後半のサスペンスの醸造につながります。

例えば主人公らが入る娼館で指名する女性などと、まったく違和感なく性行為ができるレベルの完成度なのです。
そんな人間なのかアンドロイドなのかわからないものがいきなり反乱しだしたら怖いですよね。

主人公らが最初に撃ち殺すガンマンのアンドロイドを、ユル・ブリンナーが演じているのですが、その表情が無機質でいいですね。
やられても繰り返し襲ってくるあたりは、後年のシュワルツェネッガーによる、『ターミネーター』(1984)みたいです。

指示系統のコンピュターが異常を起こして人類へ反乱を起こすというのは『2001年宇宙の旅』(1968)でも見られて、そう目新しくもないのですが、この、ユル・ブリンナーの不死身の(?)ガンマンのおかげで俄然面白くなりました。

ただ、このアトラクションに初めて来たはずなのに、主人公が施設の内部に精通し過ぎているのはちょっと違和感がありますね。
追手から逃れるためとはいえ、地下にある迷路のような施設を迷うことなく動き回るのですから(苦笑)。

でも、バーチャルな世界を求めすぎると怖いよというメッセージが込められている気がして、注目すべき作品であるとは思います。
がちゃん

がちゃん