朝田

ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択の朝田のレビュー・感想・評価

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ライカートの過去作に負けず劣らずな傑作。まるで良質なアメリカ文学の短編集を読んだような感覚。無駄なセリフや音楽を削ぎ、女性の日常だけをカメラに映す。そのカットの連鎖からアメリカの地方の閉塞感、孤独を浮かび上がらせる。第三幕の女が牧場で作業する一連のシーンはほとんどサイレントのような静けさで、アクションだけを繋いでいく。そのミニマルな反復が画面に映っているもの以上のドラマを立ち上げている。本を読むような感覚を与えつつもやはり役者を、映画を信用しきっていないと撮れない作品だ。ある「一つの時間」に着目した贅沢な時間の使い方をしながら、時折情緒を断ちきるように大胆な省略が施される編集も時間の流れの残酷さを感じさせて素晴らしい。車が道をそれて停まるショットの切なさは胸がつまる。
朝田

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