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GODZILLA 怪獣惑星のブタブタのレビュー・感想・評価

GODZILLA 怪獣惑星(2017年製作の映画)
4.0
本作『GODZILLA怪獣惑星』のあらすじ及び舞台設定を初めて知った時に「もしかしてこれはアレでは?!」
と驚きと共に嬉しかったのは「アレ」と言うのは『虐殺器官』で知られる早逝の天才SF作家・伊藤計劃先生が書いた『ゴジラFINALWARS』の「デタラメ・オリジナル映画感想」で(文庫「伊藤計劃時評映画評論集」にも確か載ってた筈)実際の『ゴジラFINALWARS』を見る前に伊藤計劃氏が想像ででっち上げた全然違う『ゴジラFINALWARS』
妄想映画感想でハッキリ言ってコチラの方が北村龍平監督作の『ゴジラFINALWARS』よりずっと面白い!

その伊藤計劃オリジナル脚本とさえ言える『ゴジラ』の概要を説明しますと

「人類はいきなり滅亡寸前である。
1954年ゴジラ上陸以来、世界各地にゴジラは上陸し、凄まじい放射火炎によって世界中の都市という都市、文明という文明を破壊し尽くし、半世紀を経て東京を除く全世界が焦土と化した。
そして1999年、というテロップ。
武装要塞都市と化した東京の異様な景観が見事な空撮で描写される。
ゴジラ上陸から実に45年後。ノストラダムスの予言は思いもよらない形で間近に迫りつつある。
ユーラシアもオーストラリアもアメリカも海の底に沈むか草一本生えない被曝地帯と化すかして、もはや残された文明は日本列島の一部関東圏だけ。
人類最後の抵抗勢力が反撃戦力を維持すべく、焦土と化した南米やオーストラリアに渡り、鉱物などの資源調達やわずかな生存人類の「救出」を行っているが、アンギラスやラドンなど世界中を己がものにした怪獣たちによって阻まれ、その生還率は限り無く低い。
 主人公はそんな「資源調達師団」の隊員。
インドの奥地に残った鉱山跡に赴くよう命じられる。そこに何があるかは、同行する情報部の要員・明石大佐だけが知っている。
焦土と化したインドに上陸した彼らを襲う怪獣の群れ。部隊の人間が次々に命を落していく中、彼らはようやく目的地に辿り着く。そこはかつてインド政府が核開発のために掘っていたウラン鉱脈だった。
 日本政府──この地上でもはや唯一の政府である日本政府、は決断を下したのだ・・・核兵器によってゴジラを殲滅する以外方法はない、と。情報部は5年前、焦土と化した北米に上陸し、リバモア研究所の廃墟から核兵器の設計図を入手していたのだ。その任務ではほとんどの隊員が怪獣との戦闘で死んだ。
生き残って帰ったただひとりの隊員が、バンカーバスターと核弾頭の設計図を持ち帰ったのだ。
バンカーバスターによってゴジラの体表を突破し、内部で核分裂を炸裂させる。それが、この地上で最後に残った人類の最後の望みだった。
 核はかつてゴジラを生み出した。
それなのにそんな兵器が生み出した革命の申し子たるゴジラを殺せるわけがない、効果はないかもしれないと主人公は明石に問うが、しかし米・ソ連のいかなる兵器によっても殺せなかったこの怪獣を他のどんな兵器で殺したらいいのかと明石は言う。
 結局その放射性物質は主人公らによって東京へと持ち帰られる。
武装要塞都市東京の中心で・・・かつて人類同胞によって被爆し軍事力を永遠に封印すると誓ったはずのこの国で核兵器の製造が開始される。
折しも大平洋の外周を警戒していた艦隊からゴジラ発見、進路は東京との報告が入る。
ゴジラとの艦隊戦。
核兵器完成までの時間を稼ぐため、艦隊指令は苦渋の決断を下す。
彼我戦力差という言葉も滑稽な「神」と「ヒト」との戦い。
放射火炎の滑らかなストロークが空母のブリッジを竹のように切断する。デッキのクルーや航空機が吹き飛ぶ。生存艦から砲が斉射されるが、効果はない。
 次々と沈み行く大形空母
 そんな中主人公はかつてゴジラを滅ぼした唯一の化学物質の噂を聴く。
その名は《オキシジェン・デストロイヤー》それは武装要塞都市東京の住人の間では有名な都市伝説だった。
ゴジラを倒したい、ゴジラから解放されたいという願望が生み出した存在しないマクガフィン。
情報部の明石にその存在の可能性を問いただすと情報部はあらゆる可能性を追求しオキシジェン実在の調査も実際に行われたという。
結果的にその存在は否定され今回の核兵器によるゴジラ殲滅の決断が唯一の希望だとして残ったのだと。
 果たして人類は滅亡するのか。
核攻撃のスポットは東京湾内。
決行の暁に東京湾のド真ん中に立ち上るキノコ雲は果たしてゴジラ人類どちらの弔鐘なのか。ゴジラと人類の最終決戦が迫る・・・。(『伊藤計劃記録:第弍位相』より引用)」

ここに登場するゴジラは1954年に上陸し、そしてオキシジェン・デストロイヤーによって倒された最初のゴジラと同種であり、あの所謂「初代ゴジラ」がそのまま登場する。
映画史に残る歴史的傑作『ゴジラ』の直接の続編でもある。
生き残った人類とゴジラの最終戦争。
ゴジラに向け原爆が放たれると言うまさに黙示録的終末世界が描かれる。
もしこれを完璧に映像化する事が出来たら歴史的大傑作『ゴジラ』に並ぶ作品になると思うのです。
「地球は怪獣に支配され、怪獣が跋扈する世界」
「人類によるゴジラからの地球奪還」など、『GODZILLA怪獣惑星』はかなりの部分でこの「伊藤計劃版ゴジラ」の影響を受けていることは間違いなく、ゴジラ映画よりもSF映画としてのテイストが強いと言う評判もそんな所に起因しているのではないしょうか。

賛否両論なのも、既存の特撮ファンへのサービス(語弊のある言い方)より新しい事、実験的な事に挑戦してる現れだと思います。
脚本の虚淵玄氏は『まどかマギカ』で魔法少女の破壊と再構築を、『仮面ライダー鎧武』はちょっとそこまで行きませんでしたが(笑)『ゴジラ』でもゴジラ映画を次のフェイズに進めるべく非常に新しい事に挑戦してると思いますので次作も期待です。

そして次の『GODZILLA決戦機動増殖都市』ですが都市自体が増殖する兵器であり、早い話がメカゴジラだと言うコチラも伊藤計劃版ゴジラの東京そのものが対怪獣兵器である「武装要塞都市」にインスパイアされたモノである事は想像に難くないので機動増殖都市のビジュアル含め新たなメカゴジラはいったいどの様なものなのかそこも超楽しみです。
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