まず、1本それのみで完結する映画と、本作のように複数部構成になっている映画とでは、情報の配しかたや魅せ方が必然的に全く異なってくる。前者の場合は順当に起承転結、または序破急などの物語の作り方のセオリーに従って制作すればいいのだが、本作のような後者の場合は勝手が違ってくる。複数部構成の場合、シリーズ全体を通した起承転結が重要なのは言うまでもないが、1作1作のなかでの起承転結も同時に果たされねばならない。その点で、この映画は致命的な欠陥を背負っている。起承転結の転に入りかけたところで「続きは続編で！」という構造になっているので、続編への引き、期待感こそ高いものの、一本の独立した作品として体をなしていないのだ。結果として、映画を観に行ったにも関わらず、1クールアニメの3分の1まで観たものの続きが借りられていて観ることが出来ない、というような消化不良感が残ってしまった。これは非常に勿体ない気がする。
ストーリーとしては画面こそ派手なものの、キャラクター全体を俯瞰で描写している感があり、感情移入は難しい。目の前で両親をゴジラに殺された主人公が作中で幾度となくゴジラへの復讐の念を洩らすが、それさえもどこか空虚に響く。
声優陣の演技やCGを駆使した映像表現には文句無しなだけに、色々と勿体ないと感じてしまう作品だった。まあでも、続編観ます。五月だっけ？
